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ルソーの名言集 1712-1778

  • 執筆者の写真: 石田卓成
    石田卓成
  • 3月25日
  • 読了時間: 23分

更新日:9月29日

ジャン=ジャック・ルソー

【自然と人間】

1.「すべては造物主の手を離れるときには良いものであるが、人間の手にかかるとすべてが悪くなる。」(エミール、または教育について)

解説: 自然そのものは「造物主」の手によって本来良いものだと考えましたが、人間の手が加わることで、様々な悪い影響が出てしまうとしました。ここでの「造物主」は、自然の秩序を司る存在として捉えられています。これは教育についても同様で、子供の自然な成長を大切にし、大人の偏見や社会の悪い習慣から守るべきだと主張しました。自然が持っている本来の調和や純粋さが、人間の作為によって損なわれると考え、特に教育においては、その自然性を尊重することが重要だと説きました。現代社会においても、テクノロジーや社会の仕組みが、自然や人間のあり方を歪めてしまう可能性を示唆しています。


2.「私たちの魂は、私たちの知識が発展するにつれて堕落した。」(芸術と科学論)意訳

解説: 知識や学問が進歩しても、それが必ずしも人間の道徳的な向上に繋がるとは限らないと考えました。むしろ、知識が増えることで、見栄を張ったり、人を欺いたりする気持ちが生まれると警鐘を鳴らしました。彼は知識そのものを否定しているわけではなく、それが道徳や自然な感情と調和しない場合には、人間を堕落させてしまうと批判しました。自然状態の素朴さや純粋さを重視し、文明社会の洗練された文化が、人間の本来の姿を覆い隠してしまうと考えました。


3.「自然は常に私を慰めてくれる。」(孤独な散歩者の夢想)

解説: 人間社会の複雑さや矛盾に疲れた時、自然の中に心の安らぎを見出していました。晩年、社会から孤立したり、迫害されたりする中で、自然の美しさや静けさに癒しを求め、それが彼の心の支えとなったのです。現代社会でも、ストレスを感じやすい私たちにとって、自然の中で過ごす時間は、心の健康にとって非常に大切だと言えます。


4.「人間は自然の状態においては、互いに戦争状態にはない。」(人間不平等起源論)

解説: 哲学者ホッブズは、国や法律がない自然状態では、人は自分の欲しいものを手に入れるために常に争うと考えましたが、ルソーはこれに反論しました。ルソーは、自然な人間は自分の命を守ろうとする本能と、他者の苦しみに対する同情心を持っているため、平和に共存できると考えたのです。ただし、彼は自然状態を完全に平和な理想郷とは見ておらず、むしろ孤立した状態ゆえに争いが少ないとし、社会の状況が争いや不平等を生むと強調しています。ルソーによれば、争いが起こるのは社会ができて、物を欲しがる気持ちなどが生まれてからだとされています。


5.「人間は自然の状態では善であるが、文明が彼を堕落させる。」(人間不平等起源論)

解説: 人間の本質は本来善良であると考えていました。ここで言う「善良さ」とは、積極的に良い行いをすることではなく、悪いことをしようとする気持ちや過度な欲望がない、つまり純粋な状態を指します。しかし、社会や文明が発展するにつれて、見栄を張る気持ちや競争心が生まれ、人間は堕落してしまうと主張しました。この考えは、彼の教育論や社会契約論の根底にあり、現代社会のあり方を考える上でも重要な視点となります。


6.「虚栄心は、社会のあらゆる悪徳の源である」(人間不平等起源論)意訳

解説: 社会で生まれる虚栄心(他人との比較、見栄)は、不平等、嫉妬など、あらゆる悪徳の根源だと指摘します。生存に必要なものだけで満足していた自然状態から離れ、承認欲求が心の平和を乱し、他人を害する行動へと繋がると警告。ルソーは自然な自己愛と区別しつつ、虚栄心は行動を歪め、善意を曇らせると考えます。内面の素朴さに立ち返ることの大切さを示唆しています。


7.「人間は、他の動物と異なり、自分自身を完成させる力を持っている。」(人間不平等起源論)

解説: 人間には他の動物にはない「自己完成能力」があると主張しました。これは、理性や自由意志を持ち、経験や学習を通して自分自身を向上させていくことができる能力です。この能力があるからこそ、社会や文化を築きましたが、同時に不平等や堕落も生み出したとルソーは考えました。彼にとって、この能力は人間の進歩と破滅の両方を引き起こす可能性を秘めた二面性を持つものです。


8.「自然は決して我々を欺かない。我々自身が我々を欺くのだ。」(エミール、または教育について)

解説: 自然は決して私たちを欺くことはないと考えました。私たちが欺かれるのは、自分自身の欲望や偏見、社会的な影響によって、自然の声を聞き間違えてしまうからです。彼はこの「自然の声」を、直感的で純粋な良心と結びつけ、人間の理性や判断には限界がある中で、それに従うことの重要性を教えてくれます。


9.「自然の秩序は、人間のどんな制度よりも優れている。」(人間不平等起源論)

解説: 自然が作り出した秩序は、人間が作り出したどんな制度よりも調わが取れていて優れていると考えました。社会の制度や法律は、しばしば人間の欲望や不平等を生み出す原因になると批判しました。ただし、彼は自然への完全な回帰を主張するのではなく、自然の原理を基盤とした社会契約による調和を目指しました。自然の原理や摂理に学ぶことの重要性を示唆しています。


10.「自然は、私たちに自由と平等を与えた。」(人間不平等起源論)

解説: 人間は生まれた時から自由であり、平等な存在であると考えました。しかし、社会が形成され、特に私有財産制度が導入されたことによって不平等が生じ、その不平等が拡大していくと主張しました。彼の自由と平等の思想は、彼の考え方の根幹をなすものであり、後のフランス革命にも大きな影響を与えました。


11.「人間は、自然の状態では、孤立した存在である。」(人間不平等起源論)

解説: 自然状態における人間は、社会的な繋がりを持たない孤立した存在であると考えました。この孤立は、他者に頼ることのない独立性を意味し、彼らは自分の命を守るという本能に従って生き、必要なものがあればそれを自分で手に入れるという生活を送っていました。社会的な繋がりが生まれるのは、人口が増え、協力が必要になったからだと説明しています。


12.「自然の声は、私たちに真実を語る。」(エミール、または教育について)

解説: 人間の内なる良心や感情は、自然からの声であり、真実を教えてくれると考えていました。理性よりも感情を重視し、子供の教育においても、自然な感情の発達を促すことが重要だと主張しました。例えば、感覚や経験を通して学ぶことが、子供に自然の真実を伝えると説きました。理性だけでなく、自分自身の内なる声にも耳を傾けることの重要性を教えてくれます。


【自由と社会契約】

13.「人間は生まれながらにして自由である。しかし、いたるところで鎖につながれている。」(社会契約論)

解説: 社会契約論の冒頭で、「人間は生まれながらにして自由である。しかし、いたるところで鎖につながれている」と述べました。これは、人間は本来自由な存在として生まれたのに、社会生活を送る中で様々な制約を受けている現状を指摘しています。この「鎖」は、不当な権力、私有制、社会のルールなど具体的な制約を指し、それらから解放され、自然の自由を市民的な自由に変えるための社会契約の必要性を訴えました。


14.「権利は力から生じるのではない。」(社会契約論)

解説: 力のある人が自分の都合の良いように権利を主張することを否定しました。権利は、自然の法則や社会契約に基づいて正しく与えられるべきものであり、単なる力関係によって決まるものではないと考えました。彼は、力による支配は一時的にはうまくいくかもしれませんが、長期的な正義を保証するものではないと批判し、正義や公正さの根本は力ではなく、普遍的な原理にあるという信念を表しています。


15.「主権は、譲り渡すことも分割することもできない。」(社会契約論)

解説: 主権は国家の最も重要な力であり、国民全体に属するもので、他人に譲ったり分割したりすることはできないと考えました。これは彼の「国民が主体である」という思想の中心であり、主権は常に「一般意志(共同体全体の合意に基づく意志)」によって行使されるべきだと主張しました。個々の利己的な欲求や一部の独断的な決定は許されず、社会全体の利益を考えることが重要だとしています。


16.「政府は、主権者と臣民との間に確立された中間体である。」(社会契約論)

解説: 政府は国民の「一般意志(全体のための意志)」を実現するための機関であり、国民と従う者をつなぐ存在だと考えました。政府は国民から力を委ねられているため、その意志に反してはならないとしています。もし反すれば、正統性を失うとルソーは警告しました。例えば、国民の声を無視して税金を増やすようなことはせず、国民のために働くことが政府の役割であるという考えを示しています。


17.「愛国心は、自由な政府においてのみ活性化する。」(ポーランド統治論)

解説: 国民が自分たちの意志で政府を作り上げ、自由に暮らしている場合にのみ、本当の愛国心が生まれると考えました。抑圧的な政府の下では、国民は政府に対して不信感を抱き、愛国心を持つことは難しいでしょう。国民の自由と政府の正当性が、愛国心を育む上で非常に重要であることを示唆しています。


18.「国家の力は、市民の幸福に奉仕するものでなければならない。」(社会契約論)

解説: 国家の力は、一部の支配者の利益のためではなく、国民全体の幸福のために使われるべきだと考えました。国家の目的は、国民の自由と安全を守り、共通の利益を実現することにあります。国家権力の正当性の根拠は、国民の幸福にあるというルソーの考えを示しています。


19.「真の平等は、すべての人が法に等しく従うことである。」(社会契約論)

解説: 真の平等とは、地位や財産に関係なく、すべての人が同じ法に従うことだと考えました。これは、法律の下での平等という思想であり、現代の民主主義における重要な原則の一つです。ただし、ルソーは単に法が同じであるだけでなく、財産や物の格差を縮めることにも関心を示し、すべての人が真に平等に暮らせる社会を理想としていました。


20.「自由とは、人間が持つ最も高貴な権利である。」(社会契約論)

解説: 自由は人間が生まれながらに持つ最も大切な権利であり、人間としての尊厳の根源であると考えました。自由を失うことは、人間としての本質を失うことと同じだと捉え、自由を守るために社会契約が必要であると主張しました。


21.「人間が自由を失うのは、他者に依存する瞬間である。」(社会契約論)

解説: 人間が他の人に頼るようになった瞬間に、自分の意志で行動できなくなり、自由を失うと考えました。これは、お金や物の面での依存だけでなく、精神的な依存も含まれます。彼は特に、社会生活の中で生じる他人への依存が、社会がない昔の自由な状態を損なうと見ており、真の自由を得るためには、自分で決められる心を持つことが重要だと説きました。


22.「社会契約は、人間の自由を守るためにある。」(社会契約論)

解説: 社会契約の目的は、個々人が持っていた自然な自由を一部手放す代わりに、より安全で保障された市民としての自由を得ることにあると考えました。社会契約によって作られた国家は、個人の自由を侵害するのではなく、むしろ守る役割を果たすべきだと主張しました。


23.「政府は、人民の意志に従うべきである。」(社会契約論)

解説: 政府は国民の「一般意志(全体の幸福を考える意志)」を実現するための機関であり、それに反してはならないと考えました。これは、国民が国の政治を決定する主体であることを明確に示しており、個々の意見を単に合計するのではなく、全体の幸福を目指す民主主義の基本です。例えば、国民が暮らしやすいルールを作ることが政府の役割であるという考えを示しています。


24.「真の自由は、法の下での自由である。」(社会契約論)

解説: 単に自分の好きなように行動することが自由なのではなく、公正な法律の下で、他の人々の自由を侵害することなく行動できる状態が真の自由であると考えました。法律は、個人の自由を制限する側面もありますが、同時に、すべての人々の自由を保障するための土台となるのです。


25.「人間は、社会契約によって、自由を獲得する。」(社会契約論)

解説: 社会契約によって、人間は自然状態における本能的な自由を失う代わりに、理性に基づいた市民としての自由を得ると考えました。この市民としての自由は、法律によって守られ、他の人と協力しながら実現される、より高度な自由であると主張しました。


【教育と成長】

26.「生きることを学ぶ、それが私が彼に望む教育のすべてである。」(エミール、または教育について)

解説: 教育の最も重要な目的は、知識を詰め込むことではなく、子供が自立して生きていくために必要な能力を身につけることだと考えました。「生きることを学ぶ」、これこそが彼が子供に望む教育のすべてだと述べています。自然の中での様々な経験を通して学ぶことの重要性を強調し、子供が主体的に成長していくことを重視しました。


27.「子供たちを言葉で教えるのではなく、行動で教えなさい。彼らが愛すべきものを愛し、行うべきことを行うように。」(エミール、または教育について)

解説: 子供への教育において、言葉で教えるよりも、大人が模範となる行動を示すことの重要性を強調しました。子供は、大人の言うことよりもすることを見て学んでおり、大人の行動を通して何を愛すべきか、何を行うべきかを学ぶと考えたのです。親や教師など、子供の周りの大人が良い手本となることが大切だと説いています。


28.「人間は二度生まれる。一度目は存在するために、二度目は生きるために。」(エミール、または教育について)

解説: 人間の成長を二つの段階に分けました。一度目の誕生は、肉体的な存在としての誕生であり、二度目の誕生は、理性や道徳心を発達させ、社会の中で自立した人間として生きるための誕生です。教育は、この二度目の誕生を促すための非常に重要なプロセスであると考えました。


29.「子供の最初の教育は、彼を苦痛と矛盾に耐えられるようにすることである。」(エミール、または教育について)

解説: 子供を甘やかすのではなく、ある程度の苦痛や困難を経験させることによって、精神的な強さを養うことが重要だと考えました。世の中には矛盾したことや理不尽なことも多く存在するため、それらに耐える力を身につけさせることも、教育の重要な役割だとしました。


30.「健康な体は、健康な精神の土台である。」(エミール、または教育について)

解説: 心と体は深く結びついていると考え、健康な精神は健康な肉体に宿るとしました。子供の教育においても、身体的な発達を重視し、運動や自然との触れ合いを通して、丈夫な体を作ることを重要視しました。


31.「子供は子供として扱われるべきであり、大人として扱われるべきではない。」(エミール、または教育について)

解説: 子供には子供なりの発達段階があり、大人の基準で無理に何かを押し付けるような教育はすべきではないと考えました。子供の個性や発達段階を尊重し、子供のペースに合わせて教育を進めることが重要だと主張しました。


32.「教育の目的は、人間を自然の状態に近づけることである。」(エミール、または教育について)

解説: 教育の理想は、子供を社会の悪い習慣や偏見から守り、自然な感情や理性に基づいた人間を育てることだと考えました。彼は昔の自然に戻ることではなく、社会の中でも自然な優しさやバランスを保ちつつ成長することを目指しており、自然こそが人間にとって最も良い教師であるとし、自然の中での経験を通じた学びを重視しました。


33.「子供に自由を与えよ、しかし、その自由を正しく使う方法を教えよ。」(エミール、または教育について)

解説: 子供の自主性を尊重し、自由に活動させることの重要性を認めましたが、同時に、その自由には責任が伴うことも教える必要があると考えました。子供が自由に選択し、行動する中で、その結果を学び、正しい判断力を身につけることが重要だとしました。


34.「自然が子供に与えた最初の教師は感覚である。」(エミール、または教育について)

解説: 子供が最初に世界を認識し、学ぶための先生は、生まれながらに持っている感覚だと考えました。視覚、聴覚、触覚など、様々な感覚を刺激する経験を通して、子供は外界に対する理解を深めていくのです。教育者は、子供が感覚を十分に働かせることができるような環境を用意することが重要だとルソーは主張しました。


35.「自然は子供を強くするために、まず彼を弱くする。」(エミール、または教育について)

解説: 自然は子供を成長させる過程で、あえて弱さや困難を与えると考えました。これは、困難を乗り越える経験を通して、子供が精神的に成長し、強くなっていくためです。教育者は、子供を過保護にするのではなく、ある程度の困難を経験させることも重要だとルソーは示唆しています。


36.「教育とは、子供の心に知識を詰め込むことではなく、自由に考える力を育てることである。」(エミール、または教育について)

解説: 一方的に知識を教え込むような教育を批判し、子供が自ら考え、判断する力を養うことこそが教育の重要な目的だと考えました。子供の好奇心や探求心を刺激し、主体的に学ぶ姿勢を育むことが大切だとルソーは主張しました。


37.「教育は、子供の心を縛るのではなく、解き放つべきである。」(エミール、または教育について)

解説: 従来の教育が、子供の自由な発想や個性を抑圧する傾向にあると考えました。彼は、教育は子供の可能性を最大限に引き出し、自由に成長させるべきだと主張しました。子供の自主性や創造性を尊重し、それを伸ばしていくことが重要だとルソーは説きました。


38.「自然の衝動に従うことが、最も正しい教育の道である。」(エミール、または教育について)意訳

解説: 子供には生まれながらに成長しようとする自然な衝動があり、教育はその衝動を妨げるのではなく、むしろ助長するべきだと考えました。子供の興味や関心、発達段階に合わせて、無理のない教育を行うことが重要だとルソーは主張しました。


39.「子供の好奇心は、無限の可能性を秘めている。」(エミール、または教育について)

解説: 子供が持つ好奇心は、学びの原動力であり、無限の可能性を秘めていると考えました。教育者は、子供の好奇心を大切にし、様々な経験を通してその好奇心を刺激し、探求心を育むことが重要だとルソーは主張しました。


40.「教育は、人間の可能性を引き出すものである。」(エミール、または教育について)

解説: 教育の究極の目的は、人間が持つ潜在的な能力や可能性を最大限に引き出し、その人がその人らしく生きられるようにすることだと考えました。教育は、単に知識や技術を教えるだけでなく、人間としての成長全体をサポートする役割を担うべきだとルソーは主張しました。


【自己と内省】

41.「私は、私である。私以外の何者でもない。」(告白)

解説: ルソーは、自伝の中で、他者の評価に惑わされず、自分自身の存在をありのままに受け入れることの重要性を強調しました。彼は、自分は自分であり、他の誰でもないという強い自己肯定感を持っていました。この考え方は、私たちも他人と比較することなく、自分自身の価値を認めることの大切さを教えてくれます。


42.「良心よ、良心よ、汝は神的な本能、無知で愚鈍ではあるが自由で賢明な存在、善と悪の不変の尺度、人間を神に似せるものよ。」(エミール、または教育について)

解説: 人間の内なる良心を、神から与えられた本能のようなものであり、善悪を判断するための普遍的な基準であると考えていました。彼は、理性よりも良心を重視し、それは知識や知恵がなくとも、自由で賢明な存在であり、善と悪を区別する不変の基準であり、人間を神に近い存在にするものだと捉えていました。何かを判断する際には、理性だけでなく、自分自身の良心にも耳を傾けることの重要性を教えてくれます。


43.「最大の危険は、誤りを犯すことではなく、誤りを隠すことである。」(エミール、または教育について)

解説: 人間は誰でも間違いを犯すものだと考えましたが、過ちそのものよりも、それを隠そうとすることの方が大きな危険を伴うと指摘しました。間違いを隠蔽することは、さらなる問題を引き起こし、自己成長の機会を失わせると説きました。自分の過ちを素直に認め、そこから学ぶことこそが重要であると教えてくれます。


44.「私は、私自身以外の誰とも争わない。」(孤独な散歩者の夢想)

解説: 晩年、社会との関わりを避け、孤独の中で深く考えることを好みました。彼は、他人との争いを避け、自分の内面の世界に深く向き合っていました。この心境から、自分自身以外の誰とも争うつもりはないという考えに至りました。他人との競争や対立に疲れた時、自分自身と向き合い、内なる平和を見出すことの大切さを教えてくれます。


45.「真実を語ることは、私の義務である。」(告白)

解説: 自伝の中で、自身の人生をありのままに語ることを決意しました。たとえそれが恥ずかしいことや都合の悪いことであっても、真実を語ることが自分の義務だと考えたのです。彼は、正直であることの重要性、そして真実を語る勇気を私たちに教えてくれます。


46.「私は、自分自身を理解するために書いている。」(告白)

解説: 自伝を書くという行為を通して、自分の内面を深く探求し、自分自身を理解しようとしました。彼は、書くことは、自分の内面を客観的に見つめ、整理するための有効な手段だと考えていました。私たちも日記などを通して、自分自身と向き合うことの大切さを教えてくれます。


47.「孤独は、私にとって最高の慰めである。」(孤独な散歩者の夢想)

解説: 晩年、人間社会の騒がしさから離れ、孤独の中で自然と向き合うことを好みました。彼は、孤独の中で心の安らぎや深い思索を得ることができたのです。孤独は、時に私たちにとって必要な時間であり、自分自身と向き合い、内面を豊かにするための大切な機会であることを示唆しています。


48.「私は自分の心の奥底に耳を傾け、そこに真実を見出した。」(告白)

解説: 理性だけでなく、自分自身の感情や直感にも耳を傾けることによって、真実を見出すことができると考えました。彼は、心の奥底にある声は、時に理性よりも深い洞察を与えてくれることがあると信じていました。何かを判断する際には、自分自身の内なる声にも耳を傾けることの重要性を教えてくれます。


49.「私の不幸は、私に自分自身を知る機会を与えた。」(孤独な散歩者の夢想)

解説: 人生における苦難や不幸な経験を通して、人は深く自分自身を理解することができると考えました。困難な状況に直面することで、自分の弱さや強さ、本当に大切にしたいものが見えてくることがあります。苦難を単なる不幸として捉えるのではなく、自己成長の機会と捉えることの重要性を教えてくれます。


50.「私は他人にどう思われるかではなく、自分がどうあるかだけを気にする。」(孤独な散歩者の夢想)

解説: 晩年、他人の評価や世間の評判に左右されることなく、自分自身の内面の充実を重視しました。彼は、他人にどう思われるかということよりも、自分がどうあるかということに重きを置いていました。他人の目を気にしすぎるあまり、自分らしさを失ってしまうことへの警鐘と言えます。


51.「真の幸福は、内面の平和にある。」(孤独な散歩者の夢想)

解説: 物質的な豊かさや社会的な成功だけでは、本当の幸福は得られないと考えました。彼は、心の奥底にある静けさや満足感、つまり内面の平和こそが、何にも代えがたい幸福だと説きました。


52.「人間は、自分自身を理解することで、自由になる。」(告白)

解説: 自分の感情や欲望、思考のパターンなどを深く理解することで、それらに縛られることなく、より自由な選択ができるようになると考えました。自己理解は、自分自身で物事を決定する自由へと繋がると説きました。


53.「真の自由は、内面の自由である。」(孤独な散歩者の夢想)

解説: 社会的な制約から解放されることだけが自由なのではなく、自分の感情や欲望に振り回されることなく、自分の意志で考え、行動できる状態こそが本当の自由だと考えました。内面の自由は、外の状況に左右されない、より根本的な自由と言えます。


【愛と幸福】

54.「苦悩の最中にあってさえ、私は生きていた。そして、その苦悩こそが私を生きさせたのだ。」(新エロイーズ)

解説: ルソーの恋愛小説の一場面では、苦しみの中にこそ生きる力を見出す人間の強さが描かれています。人生において苦悩は避けられないものですが、ルソーは、そうした苦難を乗り越える経験を通して、人はより深く生き、成長することができると考えていたと解釈できます。


55.「幸福とは、他人の意見ではなく、自分の心の中で感じられるものである。」(新エロイーズ)

解説: 幸福は社会的な評価や他者からの承認によって得られるものではなく、個人の内面から湧き上がる感覚であると考えていました。他人の意見に左右されることなく、自分自身の心が本当に求めているものや、喜びを感じるものを見つけることが、幸福への道であると説きました。


56.「愛は理性よりも強い。」(新エロイーズ)

解説: 人間の感情の中でも、特に愛は理性によっては完全に制御できない強い力を持つと考えていました。時には、愛は理性的な判断を鈍らせ、予測不可能な行動へと人を駆り立てることがあると指摘しています。この考えは、愛の持つ情熱的で時に盲目的な性質を表しています。


57.「心が純粋であれば、幸福は自然に訪れる。」(新エロイーズ)

解説: 心が純粋で邪念がない状態であれば、人は自然と幸福を感じられるようになると考えていました。誠実で素直な心の持ち主には、幸福が自然に訪れると捉えていたのです。この考えは、内面の状態が幸福感に大きく影響するというルソーの信念を示しています。


58.「幸福とは、静かな心の中にある。」(孤独な散歩者の夢想)

解説: 晩年になるにつれて、表面的な喜びよりも、静かで穏やかな心の状態こそが真の幸福であると感じるようになっていました。騒がしい喜びではなく、内面の平和こそが、何よりも大切な幸福であると説きました。


59.「真の愛は、自己犠牲を伴うものである。」(新エロイーズ)

解説: 真に人を愛するということは、自分の利益や都合だけでなく、相手のために何かを犠牲にすることもいとわない気持ちを持つことだと考えていました。自己犠牲を伴う愛は、より深く、強い人間関係を築く上で重要であると示唆しています。


【その他】

60.「音楽は、言葉を超えて心に直接語りかける。」(音楽論)

解説: ルソーは、音楽は言葉によっては表現しきれない微妙な感情や情景を、直接的に人々の心に伝える力を持つと考えていました。言葉が論理的な思考に訴えかけるのに対して、音楽は感情や感覚に直接働きかけると捉えていました。


61.「私は孤独の中で、自分自身を見出した。」(孤独な散歩者の夢想)

解説: 晩年、社会との関わりを減らし、孤独の中で深く考える時間を持つことで、本当の自分自身を発見したと感じていました。孤独は、自己の内面と向き合い、深く探求するための貴重な機会となると考えていました。


62.「言葉は感情を伝えるために生まれ、音楽はそれを強めるためにある。」(音楽論)

解説: 言葉も感情を伝えるための手段ではありますが、音楽は言葉だけでは伝えきれない感情の深さや強さを増幅させる力を持つと考えていました。言葉と音楽は、互いに補完し合うことで、人間はより豊かに感情を表現できると捉えていました。


63.「社会の進歩は、しばしば人間の不幸を増大させる。」(芸術と科学論)

解説: 科学技術の発展や社会の進歩が、必ずしも人間の幸福に繋がるとは限らないと考えていました。むしろ、物質的な豊かさの追求や競争社会の到来によって、人間は精神的な苦痛や孤独を感じやすくなると警鐘を鳴らしました。


64.「真の勇気は、敵と戦うことではなく、自分と向き合うことである。」(告白)

解説: 外的な敵と戦うことよりも、自分の弱さや欠点、過去の過ちなど、自分自身の内面と真摯に向き合うことの方が、はるかに困難で勇気のいる行為だと考えていました。自己理解を深め、自己克服を目指すことこそが、真の勇気であると説きました。


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