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ショーペンハウアーの名言集 1788-1860

  • 執筆者の写真: 石田卓成
    石田卓成
  • 3月12日
  • 読了時間: 18分

更新日:10月3日

アルトゥル・ショーペンハウアー

1.「富は海水に似ている。飲めば飲むほど、喉が渇く。」(余録と補遺)

解説: お金やモノへの欲求は、海水を飲むのと同じで、手に入れれば入れるほど、もっと欲しくなってしまうという比喩です。彼は、物質的な豊かさでは決して心は満たされず、本当の満足感は自分自身の内面、例えば知性や心の平穏を豊かにすることから生まれると考えていました。


2.「凡人は、どうやって時間を殺そうか苦心するが、才能ある人間は、どうやって時間を利用しようか苦心する。」(余録と補遺)

解説: 時間の使い方が、平凡な人と才能ある人を分けるという指摘です。多くの人は退屈を紛らわすために時間を使いますが、才能ある人は限られた時間を自己の成長や創造的な活動のためにどう活かすかを真剣に考えます。この言葉は、人生という時間の価値をどう捉えるかが重要だと教えてくれます。


3.「虚栄は人を饒舌にし、自尊心は人を沈黙にする。」(余録と補遺)

解説: 他人によく見られたいという「虚栄心」と、自分自身を尊重する「自尊心」が、話し方にどう影響するかを述べた言葉です。虚栄心が強い人は、他人からの評価を求めてよく喋りますが、本当の意味で自分に自信を持つ人は、内面に確かなものがあるので、多くを語る必要がないということです。


4.「我々は、他の人たちと同じようになろうとして、自分自身の4分の3を失っている。」(余録と補遺)

解説: 周囲に合わせてばかりいると、本来の自分らしさが失われてしまうことへの警告です。社会に馴染もうとするあまり、多くの人が自分の個性やユニークな考えを犠牲にしてしまいます。自分らしく生きるためには、他人の目を気にしすぎず、自分自身の価値観を大切にすることが重要だと説いています。


5.「世論は振り子の運動の法則に従う。もし一方の極端まで行き過ぎれば、必ずや揺り戻されて反対側の極端にまで行く。」(余録と補遺)

解説: 世間の意見や流行は、振り子のように極端から極端へと揺れ動くものだと表現しています。一時的な感情に流されやすい大衆の意見に惑わされず、物事の本質を冷静に見極めることの大切さを示唆しています。


6.「健康はあらゆる幸福の源泉である。健康な乞食は、病気の王よりも幸福である。」(余録と補遺)

解説: 何よりもまず健康が幸福の土台であるという、彼の強い信念を表した言葉です。どんなにお金や地位があっても、健康でなければ心から幸福を感じることは難しい。逆に、たとえ貧しくても健康であれば、生きている喜びを感じられる、という考え方です。


7.「読書とは、他人にものを考えてもらうことである。自分で考えることこそが重要である。」(余録と補遺)

解説: 読書は知識を得るための素晴らしい手段ですが、ただ本を読むだけでは、他人の考えをなぞっているに過ぎない、という警告です。本から得た知識を材料にして、自分自身の頭でじっくり考え、自分なりの結論を導き出すことこそが、本当の意味での「知る」ことだと彼は主張しました。


8.「才人は誰も射れない的を射、天才は誰も見えない的を射る」(余録と補遺)

解説:この言葉は、「才能ある人(才人)」と「天才」の決定的な違いを、的を射る行為に例えて説明しています。「才人」とは、誰もが難しいと分かっている問題(誰もが射程にあると認識している的)を、卓越した技術や努力で見事に解決できる人のことです。一方、「天才」とは、そもそも他の誰もが問題だと気づいていないような、全く新しい領域や視点(誰もが見えていない的)を発見し、そこに答えを示す人のことを指します。つまり、才人は既存のゲームのトッププレイヤーであり、天才は新しいゲームそのものを発明する人だ、と彼は区別したのです。


9.「知性とは、暗闇を照らす光のようなものである。」(余録と補遺)

解説: 知性の役割を、暗い夜道を照らす光に例えています。知性は、私たちが物事を知らなかったり、間違った考えを持っていたりする「暗闇」の中で、真実や正しい道筋を見つけ出すための光となります。知性を磨くことで、より良い人生を送ることができると解釈できます。


10.「嫉妬は、他人の幸福を憎むことである。」(余録と補遺)

解説: 嫉妬という感情の本質をシンプルに定義した言葉です。嫉妬は、自分と他人を比べることから生まれ、相手の幸せを素直に喜べず、時には憎しみさえ感じてしまう心の状態です。他人との比較ではなく、自分自身の価値を見つめることが大切だと教えてくれます。


11.「音楽は、言葉では表現できない感情を表現する。」(意志と表象としての世界)

解説: 音楽は、言葉という論理的なツールでは伝えきれない、人間の複雑で深い感情を直接心に届けることができる、と彼は考えました。喜びや悲しみといった感情の最も純粋な形を表現できるため、彼は芸術の中でも特に音楽を高く評価していました。


12.「美は、永遠の真理の一形態である。」(意志と表象としての世界)

解説: 美しい芸術作品に触れている時、私たちは日々の悩みや欲望から一時的に解放され、物事の普遍的な本質(イデア)を純粋に感じ取ることができる、と彼は考えました。このため、美は時代や文化を超えて人の心を動かす、真理の一つの形であると解釈できます。


13.「同情は、あらゆる道徳の基礎である。」(意志と表象としての世界)

解説: 彼の倫理学の中心的な考え方です。人が道徳的であるための根源は、他人の苦しみを自分のことのように感じ、共感する「同情」の心にあると説きました。この他者への共感こそが、人間を正しい行いへと導く最も基本的な力だと考えています。


14.「自己犠牲は、最も崇高な行為である。」(余録と補遺)

解説: 自分の利益よりも他人の幸福を優先する自己犠牲は、人間ができる最も尊い行いの一つだと彼は評価しました。これは、自分の欲望(意志)を抑え、他者への深い同情から生まれる行動であり、彼の哲学が目指す「意志の否定」に通じる道だからです。


15.「永遠の平和は、意志の完全な否定によってのみ達成される。」(意志と表象としての世界)

解説: 彼の哲学の最終的なゴールを示した言葉です。人間の苦しみの根源は、常に何かを求め続ける盲目的な「意志」にあるため、心の真の平和は、その「意志」の働きを完全に静めること、つまりあらゆる欲望から解放されることによってのみ得られると説いています。


16.「歴史は、繰り返される同じ物語である。」(余録と補遺)

解説: 時代や場所が変わっても、人間の本質は変わらないため、歴史は結局のところ同じような過ちや争いを繰り返しているに過ぎない、という彼の見方です。歴史に進歩や発展を見るのではなく、人間の変わらない性質を学ぶための事例集として捉えていました。


17.「国家は、個人の自由を制限する。」(余録と補遺)

解説: 国家は社会の秩序を保つために必要なものですが、その一方で、法律やルールによって個人の自由を制約する存在でもある、という批判的な視点です。彼は、国家というシステムが常に個人の自由を抑圧する危険性をはらんでいると考えていました。


18.「宗教は、人々に慰めを与えるが、真理ではない。」(余録と補遺)

解説: 宗教は、人生の苦しみや死の恐怖に直面した人々に心の安らぎを与える重要な役割を持つが、それはあくまで「民衆向けの哲学」のようなものであり、哲学が探求するような論理的な真理そのものではない、という彼の考え方を要約した言葉です。


19.「人生は苦悩に満ちているが、それでも我々は生きることを欲する。」(意志と表象としての世界)

解説: 人生は根本的に苦しいものであると理解していながらも、人間は本能的に「生きたい」と願い続けてしまう。この矛盾こそが人間の基本的な状態であると指摘しています。彼の悲観的な世界観と、生のエネルギーへの洞察が表れた言葉です。


20.「意志は盲目的な衝動であり、我々を絶えず苦しめる。」(意志と表象としての世界)

解説: 彼の哲学の中心にある「意志」という考え方を説明した言葉です。彼が言う「意志」とは、私たちが普段使う「こうしよう」という意識的なものではなく、生き物すべてを突き動かす、目的のない盲目的な「生きたい」というエネルギーのようなものです。このエネルギーは常に何かを求め続けるため、決して満たされることがなく、それが人間のあらゆる苦しみの根本原因だと彼は考えました。


21.「凡人は群れることを好むが、天才は孤独を愛する。」(余録と補遺)

解説: 平凡な人は、安心感を求めて集団の中に身を置きたがりますが、本当に独創的な考えを持つ天才は、自分の思索を深めるために孤独な時間を必要とする、という対比です。彼は、偉大な思索は孤独の中から生まれると考えていました。


22.「真の知性とは、物事の本質を見抜く力である。」(余録と補遺)

解説: 本当に賢いとは、たくさんの知識を覚えていることではなく、物事の表面的な姿に惑わされずに、その奥にある本質や根本的な原因を見抜く力を持っていることだ、と彼は定義しました。


23.「真の幸福は、内面から生まれる。」(余録と補遺)

解説: 幸福は、お金や地位といった外的な条件によって決まるのではなく、その人自身の心のあり方や知性といった内面的な豊かさから生まれる、という彼の幸福論の核心です。外の世界に幸福を求めるのではなく、自分自身の内面を豊かにすることが重要だと説いています。


24.「不幸の原因は、欲望にある。」(意志と表象としての世界)

解説: 人間が不幸を感じる根本的な原因は、次から次へと湧き上がってくる欲望にあると指摘しています。欲望は決して完全には満たされず、一つの欲望が満たされてもまた新たな欲望が生まれるため、苦しみは終わりません。


25.「芸術は、人生の苦悩からの一時的な解放を与えてくれる。」(意志と表象としての世界)

解説: 彼の美学の中心的な考えです。美しい芸術に触れている間、私たちは日々の欲望や利害関係から解放され、苦しみの原因である「意志」の働きから一時的に逃れることができます。芸術は、苦しい人生における一種の避難所のような役割を果たすと考えていました。


26.「我々は皆、同じ苦悩を共有する仲間である。」 (意志と表象としての世界)

解説: 人間は誰しも、生きる上で苦悩から逃れることはできないという共通の運命を持っている、という考えです。この認識に立つことで、他人の苦しみに共感し、互いに支え合う連帯感が生まれる、と彼の倫理観は示唆しています。


27.「われわれのすべての災禍は、我々がひとりきりではいられないことに由来する。」(余録と補遺)

解説: 孤独を恐れ、常に他人との関わりを求める心が、かえって多くの問題や悩みを生み出す原因だと指摘しています。他人との関係に依存しすぎると自分を見失ってしまうため、孤独と向き合い、内面的な強さを持つことが大切だと説いています。


28.「だれでも己をこえて見ることはできない。」(余録と補遺)

解説: 人は誰でも、自分自身の経験や知識、価値観というフィルターを通してしか世界を見ることができない、という認識の限界を示した言葉です。自分という枠組みを完全に超えて、物事を客観的に理解することは不可能であると彼は考えました。


29.「なんであれ、人は忘れることができる。ただ自分自身、己自身の存在を忘れることはできない。」(余録と補遺)

解説: 人は様々な記憶を忘れることがあっても、「自分である」という意識そのものから逃れることはできない、という人間の根本的な状況を表しています。良くも悪くも、私たちは常に自分自身と向き合い続けなければならないのです。


30.「人生は一つの事業であり、その収支決算は常に赤字である。」(余録と補遺)

解説: 人生をビジネスに例えた、彼の悲観主義を象徴する言葉です。人生は苦労や努力(投資)の方が多いのに、最終的には死によってすべてを失うため、幸福(利益)が上回ることはなく、結局は赤字決算に終わる、という皮肉な見方です。


31.「孤独は天才の運命である。」(余録と補遺)

解説: 卓越した知性を持つ天才は、その考えが普通の人々には理解されにくいため、社会から孤立しがちである、という意味です。しかし、その孤独こそが、天才が偉大な創造を行うための必要な環境でもある、と彼は肯定的に捉えていました。


32.「意志は我々の本質であり、表象は単なるその影にすぎない。」(意志と表象としての世界)

解説: 彼の哲学の最も重要なポイントを要約した言葉です。私たちが目で見たり感じたりしている世界(これを彼は「表象」と呼びました)は、いわば影のようなもので、その本体は「意志」という根源的なエネルギーなのだと彼は考えました。つまり、私たちの本質も、世界の根本も、この盲目的な「意志」にあると説いたのです。


33.「天才と狂気は、同じ木の枝である。」(余録と補遺)

解説: 天才的なひらめきや創造性は、常識的な考え方から大きく外れることが多いため、一歩間違えれば狂気と見なされかねない、という両者の紙一重の関係を表現しています。天才と狂気は、常人を超えた精神活動という同じ根から生じている、という洞察です。


34.「他人の意見に依存する者は、自分自身を持たない。」(余録と補遺)

解説: 世間の評判や他人の評価ばかりを気にして行動する人は、自分自身の確固たる価値観を持っていない、という批判です。彼は、他人の意見に流されることなく、自分自身の判断で生きることの重要性を強調しました。


35.「苦悩は人生の本質であり、それを避けることはできない。」(意志と表象としての世界)

解説: 彼の悲観主義の根幹をなす考え方です。生きている限り、欲望や満たされない気持ちから生まれる苦しみは、決して避けることのできない人生の基本的な条件である、と彼は説きました。


36.「動物に対する残酷さは、人間の道徳的堕落の確かな兆候である。」(余録と補遺)

解説: 他者の痛みに共感する「同情」を道徳の基礎とした彼は、その対象を動物にまで広げました。自分より弱い立場の動物を平気で傷つけるような人間は、道徳的に非常に低いレベルにある、という強い倫理観を示しています。


37.「人生は短いが、その短さゆえに我々はそれを耐えられる。」(余録と補遺)

解説: 人生は苦しみに満ちているが、その苦しみが永遠に続くわけではないからこそ、なんとか耐えることができるのだ、という皮肉のこもった言葉です。もし人生が無限であったなら、その苦しみも無限となり、耐え難いものになるだろう、という逆説的な視点です。


38.「我々が他人に求める尊敬は、実は我々自身の虚栄心を満たすためである。」(余録と補遺)

解説: 人が他人から尊敬されたいと願うのは、相手のためではなく、結局は「自分はすごい人間だと思われたい」という自分自身の虚栄心を満たすためである、という人間の動機を冷徹に分析した言葉です。


39.「運命がカードを混ぜ、われわれが勝負する」(余録と補遺)

解説:これは、人生における「運命」と「個人の意志」の関係性を、カードゲームに例えた言葉です。「運命がカードを混ぜる」というのは、私たちが生まれ持った環境や才能、人生で偶然遭遇する出来事など、自分ではコントロールできない要素を指します。どのようなカードが配られるかは、私たちには選べません。しかし、「われわれが勝負する」というのは、その配られたカードを使ってどう戦うか、つまり、与えられた状況の中でどのような選択をし、どう努力し、どう生きるかは、私たち自身の自由意志に委ねられている、という意味です。変えられない運命を嘆くのではなく、その条件の中で最善を尽くすことの重要性を示唆しています。


40.「人間は、自分が持っていないものだけを欲しがる。」(意志と表象としての世界)

解説: 人間の欲望は、常に「足りない」という感覚から生まれる、という本質を指摘しています。すでに持っているものには満足できず、まだ手に入れていないものを常に追い求めてしまう。この終わりのない欠乏感こそが、苦しみの源だと彼は考えました。


41.「偉大な精神は、誤解されることに慣れている。」(余録と補遺)

解説: 天才や先駆者は、時代を先取りした考えを持つため、同時代の人々からなかなか理解されず、誤解されたり批判されたりするのが常である、という意味です。しかし、その誤解を恐れずに自分の道を貫くことが、偉大な仕事を成し遂げるためには必要だと示唆しています。


42.「すべての芸術は、意志の苦しみからの解放を目指す。」(意志と表象としての世界)

解説: 芸術の究極的な目的は、人間を苦しみの根源である盲目的な「意志」の支配から一時的に解放することにある、という彼の美学を要約した言葉です。芸術鑑賞は、私たちを欲望の世界から純粋な観照の世界へと引き上げてくれる救いであると彼は考えました。


43.「知識が増えれば増えるほど、苦悩も増す。」(意志と表象としての世界)

解説: 物事を深く知れば知るほど、世界の不条理や人生の苦しみの本質が見えてしまい、かえって悩みが増えることがある、という逆説的な真理です。無知な方が幸せでいられることもある、という彼の悲観的な人間観が表れています。


44.「人間の生活は、退屈と苦痛の間を揺れ動く振り子のようなものだ。」(意志と表象としての世界)

解説: 彼の哲学を象徴する最も有名な比喩の一つです。欲望が満たされない状態が「苦痛」であり、それが満たされると今度は何もすることがない「退屈」が訪れる。人生とは、この二つの苦しみの間を振り子のように行ったり来たりするに過ぎない、と彼は考えました。


45.「名誉とは、他人の我々に対する意見にすぎない。」(余録と補遺)

解説: 名誉や評判というものは、自分自身の内面的な価値とは関係なく、あくまで他人が自分をどう見ているかという外部の評価に過ぎない、と指摘しています。彼は、そのような移ろいやすい他人の意見に振り回されるべきではないと考えました。


46.「真の哲学者は、死を恐れない。」(意志と表象としての世界)

解説: 哲学を通じて世界の真理を理解した者は、個人の死が生命全体の終わりではなく、自然なサイクルの一部であることを知るため、死を恐れることはない、という考えです。個としての自分に執着しなくなることで、死の恐怖を乗り越えられると説いています。


47.「我々は自分の過去を美化し、未来を夢見るが、現在を軽視する。」(余録と補遺)

解説: 人間はしばしば「昔は良かった」と過去を美化したり、「未来はきっと良くなる」と過剰な期待を抱いたりする一方で、最も重要であるはずの「今、この瞬間」を疎かにしがちである、という時間の捉え方に対する批判です。


48.「言葉は思想の衣装にすぎない。」(余録と補遺)

解説: 言葉は、私たちの考えを表現するための道具(衣装)ではあるが、考えそのものではない、という言葉の限界を示した言葉です。本当に大切なのは、言葉という表面的な衣装ではなく、その中身である思考そのものを深めることだと彼は主張しました。


49.「我々の行動は、意志の鏡である。」(意志と表象としての世界)

解説: 人の行動は、その人の内面にある本質的な欲求、つまり「意志」が目に見える形で現れたものである、という考えです。人の本当の姿は、言葉ではなく、その行動の中にこそ映し出されると解釈できます。


50.「幸福を追い求める者は、それを決して見つけられない。」(余録と補遺)

解説: 幸福は、目標として追いかければ手に入るようなものではない、という逆説的な言葉です。幸福になろうと必死になるほど、かえって不幸を感じてしまう。幸福とは、苦しみが一時的にない状態に過ぎず、積極的に求めるべきではないと彼は考えました。


51.「我々が最も恐れるべきは、自分自身の内なる空虚である。」(余録と補遺)

解説: 人生における最大の敵は、貧しさや不運といった外的なものではなく、自分自身の内面が空っぽで、退屈してしまうことだと警告しています。精神的な豊かさを持つことの重要性を説いた言葉です。


52.「宗教は、哲学が答えられない問いに対する民衆の答えである。」(余録と補遺)

解説: 哲学は理性で真理を探究しますが、人生の意味や死後の世界といった問いには明確な答えを出せません。宗教は、そうした哲学が答えきれない根源的な問いに対して、信仰という形で人々に物語や慰めを与える役割を果たしている、と彼は分析しました。


53.「すべての愛は、自己愛の変形である。」(意志と表象としての世界)

解説: 他人を愛する行為も、突き詰めて考えれば、自分自身の満足や幸福を求める気持ち(自己愛)から生まれている、という彼の人間観を反映した言葉です。特に恋愛は、種を存続させたいという生物としての利己的な「意志」の現れであると、彼は冷徹に分析しました。


54.「我々が他人を批判するとき、それはしばしば自己批判の投影である。」(余録と補遺)

解説: 私たちが他人の欠点を厳しく批判する時、実は自分自身が持っている嫌な部分や認めたくない部分を、相手の姿に重ねて攻撃していることがある、という心理的な洞察です。他人への批判は、自分自身への不満の裏返しである可能性を示唆しています。


55.「死は個人の終わりだが、種の永遠性を保証する。」(意志と表象としての世界)

解説: 一人の人間の死は悲劇ですが、より大きな生命全体の視点から見れば、個体の死は、次の世代に生命をつなぎ、種全体が存続していくために必要な自然のプロセスである、という考え方です。


56.「真の友情は、利害を超えたところにのみ存在する。」(余録と補遺)

解説: 本当の友情とは、お互いにメリットがあるから付き合うといった損得勘定(利害関係)に基づくものではなく、相手の人格そのものを尊重し、無条件に支え合える関係の中にしか存在しない、と彼は考えました。


57.「意志を否定することは、苦悩からの唯一の解放である。」(意志と表象としての世界)

解説: 彼の哲学の最終的な結論です。人間のあらゆる苦しみは、盲目的な「意志」から生まれるため、その苦しみから完全に解放される唯一の方法は、禁欲や同情の実践を通じて、その「意志」の働き自体を否定し、静かな心の平穏(涅槃)に至ることだと説きました。


58.「我々は自分の不幸を過大評価し、他人の不幸を過小評価する。」(余録と補遺)

解説: 人間は自己中心的な生き物なので、自分の悩みや苦しみはとても大きなものだと感じ、他人の苦しみはたいしたことがないと軽く考えがちである、という認識の歪みを指摘した言葉です。


59.「我々は過去を悔やみ、未来を恐れ、現在を無視する。」(余録と補遺)

解説: 多くの人は、終わってしまった過去を後悔したり、まだ来ない未来を心配したりすることに時間とエネルギーを使い、最も大切にすべき「今、この瞬間」を疎かにして生きている、という人間の愚かさを批判した言葉です。

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