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西郷南洲翁の名言集 1828-1877

執筆者の写真: 石田卓成石田卓成

更新日:3月13日

1.「国民の上に立つ者は、いつも心を慎み、普段の行いを正しくし、驕りや贅沢を戒め、つつましくすることに努め、仕事に励んで人々の手本となり、国民がその仕事ぶりや生活を気の毒に思うくらいでなければ、政府の命令は行われにくい。」

解説: リーダーは模範となるべき行動をとり、国民から尊敬と信頼を得ることが重要であるという教えです。贅沢や驕りを戒め、国民に寄り添う姿勢を示すことで、初めて国民はリーダーに従うと説いています。


2.「政治の大要は、教育文化を盛んにすること、軍備を充実させること、および勧農の三つである。そのほかの政治上のことは、すべてこの三つの課題を実現することとかかわっている。この三つのなかで、何を優先して行うかなどの順序は、時勢によるが、この三つの課題をあと回しにして、ほかのことを先にするとはあり得ない。」

解説:西郷が考える、国家運営の最重要課題を示した言葉です。教育によって人材を育成し、軍備によって国を守り、農業を振興して経済の基盤を確立すること、この3つが不可欠であり、他の政策はすべてこの3つを実現するための手段であると説いています。


3.「いくたびか苦しいことを経験してこそ、人の志は初めて堅くなるのだ。真の男は潔く玉となって砕けることを本懐とし、志を曲げてまでして生きながらえるのを恥じるものでなければならぬ。」

解説: 困難を乗り越える経験が、人を鍛え、真の強さを生むという教えです。武士道における「滅私奉公」の精神が色濃く反映されており、名誉や義を重んじ、自己の信念を貫くためには死をも辞さない覚悟を持つべきだと説いています。


4.「過ちを犯したことを悔やんで、あれこれと取りつくろおうと心配するのは、何の役にも立たぬことである。」

解説: 過ちを犯した際には、素直にそれを認め、速やかに反省し、行動を改めることの重要性を説いています。過去の失敗に囚われ、言い訳や取り繕いに終始するのではなく、前向きに未来へ進むべきだという、実践的な教えです。


5.「自分の功績を誇って驕り高ぶるのも、みな自分を愛することから生ずることである。」 「どんなに仕事や計画が上手く進んでいても決して謙虚さを忘れてはならない。」 「手柄も立て名も知られるようになると、知らぬ間に己を甘やかす心が生まれ、恐れたり慎んだりという心が緩み、驕り高ぶる気持ちが次第に大きくなる。だから、人の見ていないところでも、戒めの心、慎みの心を持つことが必要なのだ。」

解説: 成功や名声を得た時こそ、謙虚さを保ち、自己を戒めることの重要性を説いています。自己愛が行き過ぎると、驕りや慢心につながり、結果として身を滅ぼすことになりかねないという警告です。


6.「ひたすら道を行い、道を楽しみ、もし困難に遭い、それを乗り切ろうと思うならば、ますますその道を実践し楽しむという心を持つがいい。」

解説:困難に直面した時こそ、自分が信じる「道」を実践し、楽しむ心を持つことが重要である、という教えです。苦難を乗り越えるための精神的な強さは、外から与えられるものではなく、自らの内から湧き出る「道の追求」から生まれるという、西郷の信念を表しています。


7.「天の道をおこなう者は、天下こぞってそしっても屈しない。その名を天下こぞって褒めても驕(おご)らない。」

「世の中で、人からそしられたり誉められたりするといったことは、塵のように儚く消え去ってしまうものである。」

解説: 天の道、すなわち、普遍的な正義や道理に従う者は、世間の評価に左右されない強さを持つべきだという教えです。賞賛や批判は一時的なものであり、それに惑わされず、自らの信念を貫くことの重要性を説いています。


8.「聖人や賢人になろうとする志がなく、昔の人が行った史実をみて、とてもこのようなことは自分にはできないというような心であったら、戦いを前に逃げるよりも、はるかに卑怯なことだ。」

解説:高い志を持ち、挑戦することの重要性を示しています。過去の偉人の行動を見て、自分には無理だと諦めることは、戦わずして逃げるよりも卑怯であると断じています。現状に甘んじず、常に向上心を持つことの大切さを説く教えです。


9.「命もいらぬ、名もいらぬ、官位も金もいらぬというような人物は始末に困るものである。このような手に負えない人物でなければ、困難を共にして、国家の大業を成し遂げることはできない。」

解説: 世の中で欲望のない人がいちばん恐い。無私無欲で、自己の利益を顧みない人物こそ、国家の危機を救い、大きな事業を成し遂げることができるという、西郷のリーダーシップ観を示しています。一般的な価値観では「扱いにくい」とされる人物の中に、真の英雄がいるという逆説的な真理を突いています。


10.「小人は、己を利することを欲し、君子は、民を利することを欲する。」

解説: 自己の利益のみを追求する「小人」と、民衆の利益を第一に考える「君子」を対比し、為政者のあるべき姿を示しています。西郷は、指導者には私心を捨て、公のために尽くす高い倫理観が求められると考えました。


11.「正しい道を踏み、国とともに倒れてもよいというほどの精神がなければ、外国との交際を成し遂げることはできない。」 「国が辱めを受けるようなことがあったら、たとえ国が倒れようとも、正道を踏んで道義を尽くすのが政府本来の仕事である。戦の一字を恐れ、政府本来の使命を果たさないのなら、商法支配所といった商いの元締めというようなもので、もはや政府ではなくなってしまうだろう。」

解説: 国家の尊厳と正義を守るためには、たとえ戦争をも辞さない覚悟が必要であるという、西郷の強い信念を示しています。目先の利益や安全のために、不当な要求に屈することは、政府の責任放棄であると厳しく批判しています。


12.「人間がその知恵を働かせるということは、国家や社会のためである。だがそこには人間としての「道」がなければならない。」

解説: 知恵や能力は、個人のためではなく、国家や社会のために使うべきであるという考え方です。しかし、単に能力があれば良いのではなく、そこには「道」、すなわち倫理観や道徳心が伴わなければならないと説いています。


13.「租税を薄くして、民を裕(ゆたか)にするは、即ち国力を養成する也。」

解説: 国民の生活を豊かにすることが、結果として国力を高めることにつながるという、経済政策に関する考え方です。重税によって国民を苦しめるのではなく、減税によって経済を活性化させることが重要であると説いています。


14.「わが家族が為すこともなく生活していられるのは、これを誰の恩と思うか。みな人民の課税から出た資のおかげである。これを思うからこそ、外出して人の顔を見るたびに自分は心苦しく思っている。」

解説: 自分たちの生活は、国民が納めた税金によって支えられているという事実を深く自覚し、感謝の念を持つべきだという教えです。為政者や特権階級にある者は、常に民衆への奉仕の精神を忘れてはならないという、西郷の倫理観を示しています。


15.「もし西洋が本当に文明の国ならば、未開の国に対しては、慈愛の心をもって接し、懇々と説きさとし、文明開化に導くはずであろう。ところが、そうではなく、未開蒙昧の国に対するほど、むごく残忍なことをして、自分たちの利益のみをはかるのは明らかに野蛮である。」

解説: 当時の西洋列強による植民地支配を痛烈に批判した言葉です。真の文明とは、力で他国を支配することではなく、慈愛の心を持って導くことであると説き、西欧の偽善を鋭く指摘しています。


16.「国に功労ある人には賞を与えよ。功労あるからといって、地位を与えてはならない。地位を与えるには、おのずと地位を与えるにふさわしい見識がなければならない。功労があるからといって、見識のない者に地位を与えると、国家崩壊の原因になる。」

解説: 功績のある人物には報酬を与えるべきだが、地位は能力と見識に基づいて与えるべきであるという、人事に関する重要な原則を示しています。情実人事が組織を腐敗させ、国家を滅ぼすという、西郷の危機意識が表れています。


17.「人材を登用する際、徳の有り無しだけで見てはいけない。徳の無い人でも、何らかの取り柄があるものだ。それをうまく使いこなせなければ、よい仕事はできない。」

「人材を採用するとき、君子との区別を厳格にし過ぎると、かえって害を引き起こすものである。というのは、世の中で十人のうち七、八人までは小人であるから、よくこのような小人の長所をとり入れ、これを下役に用い、その力を発揮させるのがよい。」

解説: 人材登用においては、人格だけでなく、能力や個性を重視すべきであるという、現実的な視点を示しています。完璧な人間は存在しないという前提に立ち、それぞれの長所を活かすことが、組織を強くすると説いています。


18.「賢人がすべての役人を統轄し、政権が一つの方針に進み、国の体制が一つにまとまらなければ、たとえ有能な人物を登用し、自由に進言できるようにして、多くの人の考えを取り入れるにしても、どれを取捨するのか一定の方針がなくては、行うことは雑でまとまりがなく、とても成功どころではない 。」  

解説: 組織運営においては、リーダーシップと統一された方針が不可欠であるという教えです。多様な意見を取り入れることは重要ですが、最終的な意思決定を行い、組織をまとめ上げるリーダーの存在がなければ、組織は機能しないと説いています。


19.「天は他人も私も区別なく愛されるのであるから、我々は自分を愛する心を持って他人をも愛することでなくてはならない。」「己を尽くして人を咎めず。我が誠の足らざるを常にたずぬるべし。我を愛する心を以って人を愛せ。自己を許すが如く人を許せ。人を責めるが如く自己を責めよ。」

解説: 西郷は、博愛の精神を説くとともに、その根底には自己への厳しさがあると説きます。「天」という普遍的な存在の前では、他人も自分も等しく愛されるべき存在であると同時に、自己を愛するように他人を愛するには、まず自己を深く省み、誠を尽くす必要があると考えました。他人への寛容さは、自己への厳しさがあってこそ成り立つという、西郷の倫理観を示しています。


20.「学問を志す者は、広く学ぶという心がけが必要である。しかし、ただそのことのみに偏ってしまうと、身を修めることがおろそかになっていくから、常に自分に克ち、身を修めることが大事である。」

解説: 知識の習得は重要ですが、それだけでは不十分であり、人格の陶冶が伴わなければならないという教えです。「学問」と「修養」のバランスを重視し、特に「克己心」の重要性を強調しています。これは、知識偏重に陥りがちな現代社会にも通じる普遍的な教訓と言えるでしょう。


21.「策略は日常的にすることではない。はかりごとをめぐらしてやったことは、あとから見ると善くないことがはっきりしていて、必ず後悔するものである。」

解説: 目先の利益のために策略を弄することは、長期的には必ず失敗を招くという警告です。誠実さ、正直さを重視し、常に正々堂々と行動することの重要性を説いています。


22.「大きな事を成し遂げようとするなら、細事に拘ってはならない。」

解説: 大局的な視点を持つことの重要性を示した言葉です。些細なことに気を取られ、本質を見失うことなく、大きな目標に向かって進むべきであると説いています。


23.「我が志を遂げんとすれば、まず我が身を殺すべし。」

解説: 自己の私欲やエゴを捨て、無私の精神で志を貫く覚悟を説いた言葉です。西郷が西南戦争で政府軍と戦い、自らの命を賭けた背景にも、この思想が垣間見えます。武士としての滅私奉公の精神が強く感じられる一言です。


24.「我が家の遺訓。それは子孫のために良い田を買わない、すなわち財産を残さないということだ。」

解説:西郷家の独特な家訓を紹介しています。物質的な財産を残すことよりも、子孫が自らの力で生きていく力を養うことこそが重要である、という考え方が示されています。


25.「勝つためには死を覚悟しなければならない。」

解説: この名言は、戦う際に命を捨てる覚悟が必要と説きます。西郷は薩摩の乱で自ら命を賭け、信念を守りました。そのため、武士道の精神を体現する言葉です。


26.「大きなことを成し遂げた人は、大きな苦しみを耐え抜いた人だ。」

解説: 西郷は、偉大な業績は多くの苦難を乗り越えることで達成されると信じました。彼自身の人生も試練を乗り越え、日本の歴史に貢献しました。この言葉はその信念を表します。


27.「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、己を尽くし、人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし。」

解説: 人の評価を気にせず、天、すなわち普遍的な道徳や正義に照らして行動すべきであるという教えです。他人を責める前に、まず自己の誠実さを問い、自己を磨くことの重要性を説いています。


28.「人として生きるためには、国のために死ねる人であることがまず必要だ。」

解説: この名言は、国のために命を捧げられることが真の人間としての条件と説きます。西郷の時代では、忠義と義務が重要視され、この価値観を反映しています。


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