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ショーペンハウアーの名言集 1788-1860

執筆者の写真: 石田卓成石田卓成

更新日:3月13日

アルトゥル・ショーペンハウアー

1.「真理は、常に少数派の側に存在する。」(余録と補遺)

解説:多数派の意見が必ずしも真理とは限らないことを示唆しています。真理は、しばしば少数派によって発見、保持され、大衆に受け入れられるまで時間を要します。真理を探究する者は、孤独や反対を恐れず、自らの信念を貫く強さが求められると解釈できます。


2.「富は海水に似ている。飲めば飲むほど、喉が渇く。」(余録と補遺)

解説:富への欲望は際限がないことを、海水で喉の渇きを癒そうとする行為に例えています。富を得ても満足感は一時的で、さらなる富を渇望する悪循環に陥ることを警告しています。真の充足は、物質的な豊かさではなく、内面的な豊かさにあるという哲学が背景にあります。


3.「凡人は、どうやって時間を殺そうか苦心するが、才能ある人間は、どうやって時間を利用しようか苦心する。」(余録と補遺)

解説:時間に対する意識と使い方の違いが、凡人と才能ある人を分けると指摘しています。凡人は時間を持て余し、退屈を紛らわすことに苦心しますが、才能ある人は、限られた時間を有効活用し、創造的な活動や自己成長に充てようと努力します。時間の価値を認識することの重要性を示唆しています。


4.「虚栄は人を饒舌にし、自尊心は人を沈黙にする。」(余録と補遺)

解説:虚栄心と自尊心という対照的な感情が、人の言動に及ぼす影響を表現しています。虚栄心が強い人は、他人からの賞賛を求めて饒舌になりますが、真の自尊心を持つ人は、自己の内面と向き合い、軽々しい発言を控える傾向があります。内面の充実が、真の自信に繋がることを示唆しています。


5.「金を貸すのを断ることで友を失うことはまずないが、多くの場合、金を貸すことで友を失う。」(余録と補遺)

解説:金銭の貸し借りが、友人関係に及ぼす影響について、現実的な視点から述べた言葉です。友情はお金で計れない価値を持つ一方で、お金の問題は友情を壊す原因になり得ます。金銭関係は慎重に扱うべきであり、友情を守るためには、安易な貸し借りを避ける方が賢明であるということです。


6.「我々は、他の人たちと同じようになろうとして、自分自身の4分の3を失っている。」(余録と補遺)

解説:他人との比較や同調圧力によって、個性を失うことへの警鐘です。人は、社会に適応しようとするあまり、本来の自分らしさを見失いがちです。しかし、真の自己実現のためには、他人の目を気にせず、自分自身の内なる声に耳を傾け、個性を尊重することが重要であると説いています。


7.「世論は振り子の運動の法則に従う。もし一方の極端まで行き過ぎれば、必ずや揺り戻されて反対側の極端にまで行く。」(余録と補遺)

解説:世論の変動性を、振り子の動きに例えて表現しています。世論は、一時的な感情や流行に左右されやすく、極端から極端へと揺れ動く傾向があります。この言葉は、世論に流されず、冷静に物事の本質を見極めることの重要性を示唆しています。


8.「幸福は、満足に到達したときではなく、満足に向かっている過程にある。」(余録と補遺)

解説:幸福は、目標を達成した瞬間だけでなく、目標に向かって努力する過程にも存在するという考えを示しています。目標達成は一時的な喜びに過ぎず、真の幸福は、日々の努力や成長、そして、そこから生まれる充実感の中にあると解釈できます。


9.「健康はあらゆる幸福の源泉である。健康な乞食は、病気の王よりも幸福である。」(余録と補遺)

解説: 健康の重要性を、極端な例を用いて強調しています。物質的な豊かさや社会的地位よりも、健康であることの方が、幸福にとって本質的であると説いています。健康であれば、貧しくとも幸福を感じることができますが、病に侵されれば、王や貴族であっても幸福を味わうことは難しいでしょう。これは彼が「我々の幸福の大部分は健康と若さに依存している」とも述べているように、物質的・身体的な条件、特に健康で若々しい肉体が、精神的な幸福感の重要な基盤となるという考え方を反映しています。健康や若さを失うと幸福を感じにくくなるため、この名言は、日頃から健康に気を配ることの重要性を示唆しているとも言えます。


10.「希望とは、現実にはありえないことを期待することである。しかし、それがなければ、人生は耐え難いものになる。」(意志と表象としての世界)

解説:希望の持つ二面性を指摘しています。希望は、時に非現実的な期待を抱かせますが、同時に、困難な状況を乗り越えるための原動力にもなります。希望がなければ、人生は絶望に満ちたものになるでしょう。現実と向き合いながらも、希望を失わないことの重要性を示唆しています。


11.「読書とは、他人にものを考えてもらうことである。自分で考えることこそが重要である。」(余録と補遺)

解説:読書の意義と、主体的な思考の重要性を説いています。読書は知識を得る手段として有益ですが、他人の考えを鵜呑みにするだけでは不十分です。得た知識を元に、自分自身で考え、判断し、新たな価値観を創造することこそが、真の学びであると解釈できます。


12.「天才とは、的を外すことなく、常に的の中心を射抜くことができる人である。」(余録と補遺)

解説:天才の本質を、的の中心を射抜く能力に例えて表現しています。天才は、物事の本質を見抜き、的確な判断を下すことができます。凡人が見過ごしてしまうような重要な点を見逃さず、常に最善の結果を導き出すことができる、卓越した能力を持つ人物であると定義しています。


13.「知性とは、暗闇を照らす光のようなものである。」(余録と補遺)

解説:知性の役割を、暗闇を照らす光に例えています。知性は、無知や誤った思い込みといった暗闇の中で、真理や解決策を見出すための光となります。知性を磨くことで、物事の本質を理解し、より良い判断を下せるようになり、人生を豊かにすることができると解釈できます。


14.「礼儀正しさは、知恵の一形態である。」(余録と補遺)

解説:礼儀正しさを、単なる形式的なマナーではなく、知恵の表れとして捉えています。礼儀正しい振る舞いは、人間関係を円滑にし、社会生活を円満に送るための知恵です。相手への敬意や配慮を示すことで、相互理解を深め、より良い関係を築くことができると説いています。


15.「嫉妬は、他人の幸福を憎むことである。」(余録と補遺)

解説:嫉妬の感情を、他人の幸福を憎む心であると定義しています。嫉妬は、他人と比較することで生まれる劣等感や不満から生じ、人間関係を破壊する可能性があります。嫉妬心を克服するためには、他人との比較をやめ、自己の内面と向き合い、自己肯定感を高めることが重要であると解釈できます。


16.「復讐は、甘美な快楽であるが、後には苦い後悔を残す。」(余録と補遺)

解説:復讐の持つ一時的な快楽と、その後に訪れる後悔について述べています。復讐は、一瞬の満足感をもたらすかもしれませんが、長期的には、虚しさや罪悪感といった苦い感情を引き起こします。復讐よりも、許しや和解を選ぶことが、真の心の平和に繋がると示唆しています。


17.「友情は、喜びを二倍にし、悲しみを半分にする。」(余録と補遺)

解説:友情の持つ素晴らしい効果を、簡潔に表現しています。真の友人は、喜びを分かち合うことで、その喜びをさらに大きくし、悲しみを共にすることで、その悲しみを軽減してくれます。困難な時も、嬉しい時も、支え合える友人の存在は、人生を豊かにするかけがえのないものであると説いています。


18.「音楽は、言葉では表現できない感情を表現する。」(意志と表象としての世界)

解説:音楽の持つ、言語を超越した表現力を示しています。音楽は、喜び、悲しみ、怒り、愛情など、言葉では表現しきれない微妙な感情を、直接的に心に響かせることができます。音楽は、人間の感情を深く理解し、共感するための、普遍的な言語であると解釈できます。


19.「美は、永遠の真理の一形態である。」(意志と表象としての世界)

解説:美の本質を、永遠の真理との関連性において捉えています。美しいものは、時代や文化を超えて、人々に感動を与え続けます。美は、単なる表面的なものではなく、普遍的な真理を内包しているからこそ、人々の心を捉えて離さないと解釈できます。


20.「死は、生の終焉ではなく、新たな生の始まりである。」(意志と表象としての世界)

解説:死を、単なる終わりではなく、新たな始まりとして捉える、死生観を示しています。この言葉は、肉体的な死は終わりを意味するが、魂や精神は別の形で存在し続けるという、輪廻転生や永遠の生命といった思想を背景にしていると解釈できます。


21.「時間は、あらゆるものを癒す。」(余録と補遺)

解説:時間の持つ治癒力を表しています。悲しみ、苦しみ、怒りなど、様々な負の感情は、時間とともに薄れていくことがあります。時間だけが解決できる問題があることを示唆しており、焦らずに時の流れに身を任せることの重要性を説いています。


22.「同情は、あらゆる道徳の基礎である。」(意志と表象としての世界)

解説:同情心を、道徳の根源であると捉えています。他者の痛みや苦しみを理解し、共感する能力こそが、人間を道徳的な行動へと導く原動力となります。同情心を持つことで、他者を尊重し、思いやりのある行動をとることができるようになると説いています。


23.「正義とは、他人の権利を侵害しないことである。」(余録と補遺)

解説:正義の概念を、他者の権利尊重という観点から定義しています。自分の権利を主張するだけでなく、他者の権利も同様に尊重することが、公正な社会を築く上で不可欠です。自己中心的にならず、他者の立場を理解し、尊重することの重要性を示唆しています。


24.「真実を語ることは、あらゆる義務の基礎である。」(余録と補遺)

解説:真実を語ることの重要性を、義務の根幹として強調しています。嘘や偽りは、人間関係を破壊し、社会の信頼を失墜させます。真実を語ることは、誠実さの表れであり、あらゆる人間関係や社会活動の基盤となる、最も重要な義務であると解釈できます。


25.「自己犠牲は、最も崇高な行為である。」(余録と補遺)

解説:自己犠牲の尊さを、最も崇高な行為であると称賛しています。自己の利益を顧みず、他者のために尽くすことは、人間性の最も美しい行動の一つです。自己犠牲は、他者への深い愛情や思いやり、そして、強い責任感から生まれる、倫理的に優れた行為であると解釈できます。


26.「永遠の平和は、意志の完全な否定によってのみ達成される。」(意志と表象としての世界)

解説:ショーペンハウアーの哲学における、究極的な目標を示しています。彼の思想では、意志は苦悩の根源であり、その意志を完全に否定すること、すなわち、欲求や執着から解放されることによってのみ、真の平和と安らぎが得られると説いています。


27.「歴史は、繰り返される同じ物語である。」(余録と補遺)

解説:歴史の反復性について述べた言葉です。人間の本質は変わらないため、時代や場所が違っても、同じような過ちや争いが繰り返されると指摘しています。歴史から学び、過去の教訓を未来に活かすことの重要性を示唆しています。歴史を学ぶことで、人間の普遍的な性質を理解し、より良い未来を築くことができると解釈できます。


28.「国家は、個人の自由を制限する。」(余録と補遺)

解説:国家と個人の関係について、批判的な視点から述べた言葉です。国家は、社会秩序を維持するために必要ですが、同時に、個人の自由を制限する側面も持っています。国家権力は、常に個人の自由を侵害する危険性を孕んでおり、警戒が必要であるという思想が背景にあります。


29.「宗教は、人々に慰めを与えるが、真理ではない。」(余録と補遺)

解説:宗教の役割と限界について、客観的に述べています。宗教は、人々に心の安らぎや希望を与える一方で、必ずしも真理を反映しているとは限りません。宗教を盲信するのではなく、理性的な思考によって真理を探求することの重要性を示唆しています。


30.「人生は苦悩に満ちているが、それでも我々は生きることを欲する。」(意志と表象としての世界)

解説:人生の本質を、苦悩と生への意志という二つの側面から捉えています。人生は苦しみに満ちていると認識しながらも、人間は本能的に生きることを欲し、苦悩から逃れられないという矛盾を抱えていると指摘しています。ショーペンハウアーの人生は苦しいものだという考え方と、生への執着が表れた言葉です。


31.「意志は盲目的な衝動であり、我々を絶えず苦しめる。」(意志と表象としての世界)

解説:ショーペンハウアー哲学の中心概念である「意志」について説明しています。意志は、理性によって制御できない盲目的な衝動であり、常に何かを求め、渇望し、決して満たされることがありません。この意志こそが、人間の苦悩の根源であると説いています。


32.「凡人は群れることを好むが、天才は孤独を愛する。」(余録と補遺)

解説:凡人と天才の、対照的な性質を表しています。凡人は、安心感を求めて集団に属することを好みますが、天才は、独自の思考や創造性を追求するために、孤独を必要とします。孤独の中でこそ、天才は真理を探究し、新たな価値を生み出すことができると解釈できます。


33.「真の知性とは、物事の本質を見抜く力である。」(余録と補遺)

解説:真の知性の定義を、表面的な現象に惑わされず、物事の本質を見抜く能力であると示しています。単なる知識の量ではなく、物事の背後にある原理や意味を理解する力こそが、真の知性であると解釈できます。


34.「真の幸福は、内面から生まれる。」(余録と補遺) 解説:幸福の源泉は、外部の状況ではなく、自己の内面にあると説いています。物質的な豊かさや社会的地位ではなく、心の状態こそが、幸福を左右する最も重要な要素です。自己の内面を磨き、精神的な充足を得ることが、真の幸福への道であると解釈できます。


35.「不幸の原因は、欲望にある。」(余録と補遺)

解説:不幸の原因を、欲望という人間の内面的な要因に求めています。欲望は、決して満たされることがなく、常に新たな苦しみを生み出します。欲望をコントロールし、執着から解放されることが、不幸から脱却するための鍵であると説いています。


36.「芸術は、人生の苦悩からの一時的な解放を与えてくれる。」(意志と表象としての世界)

解説:芸術の持つ、苦悩からの解放という役割を強調しています。芸術は、現実世界の苦しみから目をそらし、美の世界へと意識を向けることで、一時的な安らぎを与えてくれます。芸術は、人生の苦悩を和らげる、精神的な避難所のようなものであると解釈できます。


37.「我々は皆、同じ苦悩を共有する仲間である。」 (意志と表象としての世界)

解説:人間は皆、苦悩という共通の運命を背負っているという認識を示しています。この言葉は、他者への共感や連帯意識を促し、互いに支え合うことの重要性を示唆しています。苦しみを分かち合うことで、孤独感を和らげ、共に生きる力を得ることができると解釈できます。


38.「世には、お前を除いて他の何人も行き得ぬ唯一つの道がある。 何處へ行くのか問ふことは禁物である、ひたすらにその道を行け。」(余録と補遺)

解説:自己の人生を主体的に生きることの重要性を説いています。他人の意見や世間の常識に惑わされず、自分自身の内なる声に従い、自分だけの道を歩むべきであると説いています。


39.「われわれのすべての災禍は、我々がひとりきりではいられないことに由来する。」(余録と補遺)

解説:孤独を恐れる心が、様々な問題を引き起こす原因であると指摘しています。他人との関係に依存しすぎることで、自分自身を見失い、真の幸福から遠ざかってしまうことがあります。孤独と向き合い、自己の内面を充実させることが、真の幸福への道であると解釈できます。


40.「睡眠は死の一部である。 われわれはそれを前借りし、そのおかげで毎日の疲れた生をさらに保存し、再生させるのだ」(意志と表象としての世界)

解説:睡眠と死の類似性を指摘し、睡眠の持つ回復機能を強調しています。睡眠は、一時的に死の状態に近づくことで、生命活動を維持するためのエネルギーを蓄え、心身を回復させます。日々の活動で消耗した生命力を、睡眠によって再生し、再び活動できるように準備していると解釈できます。


41.「だれでもおのれをこえて見ることはできない。」(余録と補遺)

解説:人間の認識の限界を示唆しています。人は、自分自身の経験、知識、価値観に基づいてしか、物事を理解することができません。他者の視点や、自分自身の限界を超えた世界を完全に理解することは不可能であるという、認識論的な限界を表現しています。


42.「なんであれ、人は忘れることができる。ただ自分自身、己自身の存在を忘れることはできない。」(余録と補遺)

解説:自己という存在の絶対性を示しています。記憶や経験は失われることがあっても、自己意識は常に存在し続けます。自分自身であることからは逃れられず、良くも悪くも自己と向き合い続けなければならないという、人間の実存的な状況を表現しています。


43.「人生は一つの事業であり、その収支決算は常に赤字である。」(余録と補遺)

解説:人生を苦悩の連続と捉え、幸福よりも不幸が優勢であると主張しました。この名言は、彼の悲観主義的な世界観を象徴しています。どれだけ努力しても、最終的には死によって全てが無に帰すため、人生は常に損失を出し続ける事業のようなものであるという、皮肉な視点を表しています。


44.「孤独は天才の運命である。」(余録と補遺)

解説:凡人と天才の対比を好んだ彼らしい言葉で、卓越した精神を持つ者は群衆から孤立せざるを得ないと述べています。天才は、独自の思考や価値観を持つため、周囲の理解を得られず、孤独を感じやすいです。しかし、その孤独こそが、天才の創造性の源泉となる場合もあると解釈できます。


45.「意志は我々の本質であり、表象は単なるその影にすぎない。」(意志と表象としての世界)

解説:彼の哲学の核心をなす言葉で、意志が人間の根本的な駆動力であり、世界はそれに基づいて認識されると説いています。私たちが認識する世界(表象)は、意志の現れに過ぎず、実体は意志そのものであるという、彼の世界の捉え方を表しています。


46.「天才と狂気は、同じ木の枝である。」(余録と補遺)

解説:天才と狂気の境界が曖昧であると考え、両者が常人を超えた精神活動に由来すると見なしました。天才的な創造性は、常識から逸脱した発想や行動を伴うことがあり、それが狂気と見なされることもあります。両者の根底には、共通の精神的基盤があるという洞察を示しています。


47.「他人の意見に依存する者は、自分自身を持たない。」(余録と補遺)

解説:自己の独立性を重視する彼の姿勢が表れており、世論や他者の判断に振り回されることを戒めています。他人の評価に一喜一憂するのではなく、自分自身の価値観に基づいて判断し、行動することの重要性を説いています。


48.「苦悩は人生の本質であり、それを避けることはできない。」(意志と表象としての世界)

解説:彼の悲観主義の根幹をなす考えで、意志の衝動が苦しみを生み出すと説いています。生きていく上で、欲望や欠乏感から生じる苦悩は避けられないものであり、それを受け入れることが、現実と向き合う上で重要であると説いています。


49.「すべての偉大な真理は、最初は冒涜として現れる。」(余録と補遺)

解説:真理が一般に受け入れられるまでの困難さを指摘し、革新性と抵抗の関係を示唆しています。新しい真理は、既存の価値観や常識を覆すことが多いため、最初は異端視され、迫害されることさえあります。しかし、時間が経つにつれて、その真理が認められ、受け入れられるようになることもあります。


50.「動物に対する残酷さは、人間の道徳的堕落の確かな兆候である。」(余録と補遺)

解説:同情を重視し、動物への態度が人間の倫理性を測る基準となると考えました。弱い立場にある動物に対して残酷な行為をする人間は、道徳的に堕落しており、他者への共感や思いやりを欠いていると指摘していま


51.「哲学とは、世界を驚きとともに眺めることから始まる。」(意志と表象としての世界)

解説:彼は哲学を、日常的な見方を超えた驚異から始まる探究と定義しました。当たり前だと思われていることに対して、疑問を持ち、深く考えることこそが、哲学の出発点です。世界を新鮮な目で見て、驚きを感じる心を持つことが、真理探究の原動力となると解釈できます。


52.「人生は短いが、その短さゆえに我々はそれを耐えられる。」(余録と補遺)

解説:人生の苦悩を強調しつつ、その有限性が救いでもあると皮肉を込めて述べています。もし人生が永遠に続くとしたら、その苦悩もまた永遠に続くことになり、耐え難いものとなるでしょう。人生が短いからこそ、我々は苦悩に耐え、生きることができるという、逆説的な真理を示しています。


53.「我々が他人に求める尊敬は、実は我々自身の虚栄心を満たすためである。」(余録と補遺)

解説:人間の社会的行動の裏にある動機を批判的に分析しています。他人に尊敬されたいという欲求は、純粋なものではなく、自己の優越性を確認し、自尊心を高めたいという虚栄心から生じていると指摘しています。彼のこの洞察は、現代社会、特にSNSにおける承認欲求の蔓延を予見していたかのようです。SNSでは、誰もが自己を表現し、他者からの評価を求めることができますが、その根底には、彼が指摘する虚栄心が潜んでいる場合があります。「いいね!」やコメントの数に囚われ、過剰な承認欲求に突き動かされる現代人の姿は、他者からの尊敬を求めることが、結局は自己の虚栄心を満たすためであるという彼の言葉を、現代においてより一層重みのあるものにしています。 私たちは、SNSでの承認欲求とどのように向き合うべきか、ショーペンハウアーの哲学は重要な示唆を与えてくれます。


54.「運命は我々にカードを配るが、それをどう使うかは我々自身に委ねられている。」(余録と補遺)

解説:運命と自由意志の関係を比喩的に表現した言葉です。人生において、どのような状況に生まれるか、どのような出来事が起こるかは、ある程度運命によって決められているかもしれません。しかし、その状況にどのように対処し、どのように生きるかは、自分自身の選択と意志に委ねられているのです。


55.「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ。」(余録と補遺)

解説:知性の違いを、過去の教訓を活かす能力に求めています。愚者は、自分の経験からしか学ぶことができませんが、賢者は、歴史上の出来事や他者の経験から学び、同じ過ちを繰り返さないようにすることができます。歴史や哲学者の言葉から学ぶことの重要性を示唆しています。


56.「人間は、自分が持っていないものだけを欲しがる。」(意志と表象としての世界)

解説:欲望の本質を、欠乏感に結びつけて説明しています。人間は、満たされているものには満足せず、常に不足しているものを追い求めます。この欲望こそが、苦悩の根源であると、ショーペンハウアーは考えました。


57.「偉大な精神は、誤解されることに慣れている。」(余録と補遺)

解説:天才や優れた人物が世間から理解されにくい運命を描いています。偉大な精神は、常人とは異なる思考や価値観を持つため、周囲から誤解されやすく、孤立することがあります。しかし、その誤解を恐れず、自己の信念を貫くことが、偉大な業績を生み出す原動力となる場合もあります。


58.「すべての芸術は、意志の苦しみからの解放を目指す。」(意志と表象としての世界)

解説:芸術が持つ救済的役割を強調し、特に音楽を高く評価しました。芸術は、現実世界の苦悩から目をそらし、美の世界へと意識を向けることで、一時的に意志の苦しみから解放してくれます。芸術は、人間の精神を浄化し、高揚させる力を持つと解釈できます。


59.「他人を憎むことは、自分自身を傷つけることである。」(余録と補遺)

解説:負の感情が自らに返ってくることを警告しています。他人を憎むことで、自分自身の心が毒され、苦しみが増幅されます。憎しみは、相手だけでなく、自分自身をも傷つける破壊的な感情であると認識することが重要です。


60.「知識が増えれば増えるほど、苦悩も増す。」(意志と表象としての世界)

解説:知性の深化が幸福ではなく、むしろ苦しみを増大させると述べています。世界について深く知れば知るほど、不条理や苦悩の深さを認識し、かえって苦しみが増すことがあります。知識は必ずしも幸福をもたらすとは限らないという、逆説的な真理を示しています。


61.「人間の生活は、退屈と苦痛の間を揺れ動く振り子のようなものだ。」(意志と表象としての世界)

解説:人生の二つの極を象徴的に表現しています。人間は、欲望が満たされないときは苦痛を感じ、欲望が満たされると退屈を感じます。この二つの状態の間を、振り子のように揺れ動き続けるのが、人生であると解釈できます。


62.「名誉とは、他人の我々に対する意見にすぎない。」(余録と補遺)

解説: 名誉というものが、本質的には他者の評価に過ぎないということを示しています。それは、私たちに対して、外的な評価に惑わされず、内面的な価値を重視すること、そして、名誉を与えられた人に対しても盲信せず、常に批判的な視点を持ち続けるように説いています。


63.「我々が他人を許すとき、それは我々自身の心の平和のためである。」(余録と補遺)

解説:許しが自己救済に繋がるという倫理的な洞察です。他人を許すことは、相手のためだけでなく、自分自身の心の平和を取り戻すためにも必要です。過去の出来事にとらわれず、許すことによって、心の重荷を下ろし、前向きに生きることができると解釈できます。


64.「真の哲学者は、死を恐れない。」(意志と表象としての世界)

解説:死を自然なものと受け入れる姿勢を示しています。真の哲学者は、死が生命の終わりではなく、自然な過程の一部であると理解しています。死を恐れるのではなく、生を全うすることに意識を集中すべきであると説いています。


65.「貧困は人を卑しくするが、富は人を傲慢にする。」(余録と補遺)

解説:経済的状態が人間性に与える影響を指摘しています。貧困は、人を惨めな気持ちにさせ、自尊心を奪うことがあります。一方で、富は人を傲慢にし、他人を見下す原因となることがあります。どちらの極端も、人間性を歪める可能性があると警告しています。


65.「我々は自分の過去を美化し、未来を夢見るが、現在を軽視する。」(余録と補遺)

解説:人間の時間に対する歪んだ認識を批判。過去の思い出を美化し、未来に過度な期待を抱く一方で、最も重要な「今」という時間をないがしろにしがちです。現在を大切にし、今できることに集中することの重要性を説いています。


66.「言葉は思想の衣装にすぎない。」(余録と補遺)

解説:言葉の本質と限界について思索しています。言葉は、思考を表現するための手段ですが、思考そのものではありません。言葉は、思考を完全に表現することはできず、誤解を生む可能性もあります。言葉に頼りすぎず、思考そのものを深めることの重要性を示唆しています。


67.「我々の行動は、意志の鏡である。」(意志と表象としての世界)

解説:意志が行動を通じて現れると述べています。人の行動は、その人の内面にある意志を反映しています。行動を観察することで、その人の意志や欲求、性格などを推測することができると解釈できます。


63.「幸福を追い求める者は、それを決して見つけられない。」(余録と補遺)

解説:幸福が直接的な追求の対象ではないという逆説。幸福は、何かを追い求めることによって得られるのではなく、日々の生活の中で、自分自身の内面と向き合い、充実感や感謝の気持ちを持つことによって、自然と生まれてくるものであると解釈できます。


64.「子供は大人の未完成な姿ではなく、むしろ完全な存在である。」(余録と補遺)

解説:子供の純粋さを肯定的に捉えています。子供は、大人になるための未熟な存在ではなく、それ自体で完成された存在です。子供は、大人にはない純粋さ、無邪気さ、好奇心などを持っており、その存在そのものに価値があると解釈できます。


65.「我々が最も恐れるべきは、自分自身の内なる空虚である。」(余録と補遺)

解説:内面的な欠如が最大の敵であると警告。物質的な豊かさや社会的地位ではなく、自分自身の内面が空虚であることこそが、最も恐れるべき状態です。自己の内面と向き合い、精神的な充足を求めることの重要性を説いています。


66.「宗教は、哲学が答えられない問いに対する民衆の答えである。」(余録と補遺)

解説:宗教と哲学の役割の違いを指摘。哲学は理性によって世界の真理を探求しますが、全ての問題に答えられるわけではありません。宗教は哲学が答えられない生死の意味や、世界の起源といった根源的な問いに対して、信仰に基づく答えを提供し、人々に心の安らぎを与えます。


67.「すべての愛は、自己愛の変形である。」(意志と表象としての世界)

解説: 愛の根底に利己的な動機があるとしています。他者への愛も突き詰めれば、自分自身の幸福や満足を求める気持ちから生じている、という解釈です。ショーペンハウアーの人間観を反映したもので、純粋な愛を疑うような視点です。


68.「我々が他人を批判するとき、それはしばしば自己批判の投影である。」(余録と補遺)

解説: 心理的な投影の仕組みを洞察。他人を批判する時、実は、自分自身の欠点や嫌悪している部分を、相手に見ていることがあります。例えば、時間にルーズな人が、時間に遅れた人を必要以上に厳しく責めるのは、自分自身のだらしなさを相手に見て、嫌悪感を抱いているからかもしれません。 他人を批判する前に、まず自分自身を省みることの重要性を示唆しています。


69.「死は個人の終わりだが、種の永遠性を保証する。」(意志と表象としての世界)

解説:生物学的視点から死を捉えています。個体としての死は終わりを意味しますが、それは同時に、新たな生命の誕生へと繋がり、種全体の存続を可能にします。個の死は、種の永遠性という、より大きな視点から見れば、必要な過程であるとも解釈できます。


70.「真の友情は、利害を超えたところにのみ存在する。」(余録と補遺)

解説:純粋な関係性を称賛しています。真の友情は、損得勘定や利害関係に基づくものではなく、互いの人格を尊重し、無条件に支え合う関係です。利害を超えたところにこそ、真の友情が成立すると説いています。


71.「意志を否定することは、苦悩からの唯一の解放である。」(意志と表象としての世界)

解説:彼の哲学の最終目標である禁欲的な境地を示しています。意志は、欲望や執着を生み出し、苦悩の根源となります。その意志を否定し、欲求から解放されることによってのみ、真の平和と安らぎが得られると説いています。


72.「我々は自分の不幸を過大評価し、他人の不幸を過小評価する。」(余録と補遺)

解説:自己中心的な認識の歪みを指摘しています。人間は、自分の不幸を実際よりも大きく感じ、他人の不幸を軽く考えがちです。自分の視点だけでなく、他者の視点からも物事を見ることで、より客観的な認識を持つことができると説いています。


73.「我々は過去を悔やみ、未来を恐れ、現在を無視する。」(余録と補遺)

解説:時間の扱いにおける人間の愚かさを批判しています。過去の出来事に囚われ、未来の不安に怯え、最も大切な「今」という瞬間を疎かにしがちです。過去から学び、未来に備えることは大切ですが、それらに囚われすぎず、現在を生きることの重要性を説いています。


 
 

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