エドマンド・バークの名言 1.「あなたの代表は、あなたにただ勤勉さだけでなく、判断力も負っている。彼があなたの意見に犠牲を払うなら、それはあなたを裏切ることになる。」(ブリストル選民への演説1774年)意訳
解説:議員は単なる投票の代行者ではなく、自分の良心と専門知識に基づき、最善の判断を下す責任があるということです。たとえ選挙民の意見と違っても、国全体の利益を考え、時には厳しい決断をしなければならないというプロ意識を説いています。
2.「社会は確かに契約である。」(フランス革命の省察)
解説:社会は、今生きている人だけでなく、過去の世代、未来の世代とも結ばれた壮大な「契約」であるという考えです。伝統や文化を大切にし、急激な変化ではなく、時間をかけて社会を良くしていくべきだというバークの保守主義の根幹を示しています。
3.「自由を愛する者は、まず秩序を愛さなければならない。」(フランス革命の省察)要約
解説: 自由は大切だけど、無秩序な状態では意味がない。法律やルール、道徳といった「秩序」があってこそ、自由は守られ、活かされるという考えです。自由と責任はセットであるという現代にも通じるメッセージです。
4.「改革とは、破壊することではない。」(フランス革命の省察)要約
解説:社会を良くするためには変化も必要だけど、すべてを壊してゼロから作り直すような革命というやり方はダメだということです。過去の知恵や経験を活かしながら、少しずつ改善していく漸進というやり方をすべきだという穏健な立場です。
5.「人間の情熱を過信してはならない。」(フランス革命の省察)要約
解説:バークは、人間が感情に流されやすく、理性的な判断を失いやすいと考えました。特に、フランス革命のような状況では、集団心理や熱狂が暴走し、社会に混乱と破壊をもたらす危険性があると警告しています。彼は、人間の情熱や衝動は、理性や道徳によって抑制される必要があると主張しました。
6.「すべての政府の目的は、国民の幸福と繁栄を保障することである。」(1784年の演説より)要約
解説:政府は国民の幸福と繁栄を実現するために存在するが、それは単なる個人の満足を超え、社会の秩序と安定を保つことと切り離せないというバークの考えを示しています。国民が誤った方向に進む場合、政府は伝統や理性に基づいて指導する責任を負うとも彼は主張しました。
7.「悪人が結びつくとき、善人は団結しなければならない。そうでなければ、彼らは一人ずつ、哀れみもなく軽蔑される闘争で倒れるだろう。」(現在の不満の原因に関する考察1770)
解説:悪いことを企む人たちは団結する。だから、良いことをしたい人たちも、力を合わせないと負けてしまう。見て見ぬふりや無関心はダメだという行動を促す言葉です。
8.「読むだけで反省しないのは、食べて消化しないのと同じだ。」(崇高と美の観念の起源に関する哲学的探究1757年)
解説:本を読んだり、情報を得たりするだけではダメ。それを自分なりに考え、理解し、自分のものにしないと意味がないということです。知識を詰め込むだけでなく、考える力を養うことの大切さを説いています。
9.「恐れほど心の行動と理性の力を効果的に奪う情熱はない。」(崇高と美の観念の起源に関する哲学的探究1757年)
解説:人を冷静でいられなくさせる最も強力な感情だということです。恐怖に支配されると、正しい判断ができなくなる。だから、恐怖を乗り越える勇気や、恐怖を利用されないための知恵が必要だというメッセージです。
10.「政府は人間の知恵が人間の必要に応えるための仕組みであり、人々はその恩恵を享受する権利を持つ。」(フランス革命の省察)要約
解説:政府は、人々の生活を支え、必要を満たすために理性と経験によって作られたものだとバークは考えました。人々は政府がその役割を果たすことを期待する権利を持つが、それは政府が伝統や秩序を守りつつ国民に奉仕する責任と結びついています。彼は政府を国民のための実践的な道具と見なしました。
11.「良い秩序はすべての良いものの基礎である。」(フランス革命の省察)要約
解説:社会が安定し、秩序が保たれていることこそ、あらゆる良いこと(平和、繁栄、道徳など)の土台になるということです。無秩序な状態では、何も生まれないという警告です。
12.「恥がその見張りを続ける限り、美徳は完全に消え去ることはない。」(フランス革命の省察)要約
解説:悪いことをした時に「恥ずかしい」と思う気持ちがある限り、人は完全に道を踏み外すことはないということです。社会の道徳を守るためには、一人ひとりの良心や羞恥心が大切だという考えです。
13.「すべての破滅した男は、彼らの自然な傾向の側で破滅する。」(王政殺害に関する平和についての書簡)
解説:人が破滅するのは、自分の悪い癖や欲望に負けてしまうからだということです。自分をコントロールし、誘惑に打ち勝つことの大切さを説いています。
14.「人々は幻覚の下でしか自由を放棄しない。」(バッキンガムシャー郡会議での演説1784年)要約
解説:人は、騙されたり、思い違いをしたりしない限り、自ら自由を手放すことはないということです。権力者が甘い言葉で人々を操り、自由を奪うことへの警告です。
15.「騎士道の時代は終わった。詭弁家、経済学者、計算家の時代が続き、ヨーロッパの栄光は永遠に消え去った。」(フランス革命の省察)
解説:フランス革命によって、伝統的な価値観(騎士道精神など)が失われ、合理主義や経済至上主義の時代が来たと嘆いています。失われたものへの郷愁と、新しい時代への不安が入り混じった言葉です。
16.「過去をそのまま未来の計画に当てはめることはできない。」(国民議会議員への手紙)要約
解説:過去の出来事を盲目的に未来に適用することはできないと考えました。時代や状況は常に変化するため、過去の知恵を尊重しつつも、新しい現実に応じて柔軟に適応する必要があると彼は主張しました。これは、過去を無視するのではなく、そこから学びながら進むべきだという彼の姿勢を示しています。
17.「私は彼をインド人民の名において弾劾する。彼らの正義と人類全体の名において。」(ウォーレン・ヘースティングス弾劾に関する演説1788年)意訳
解説:不正を行った権力者を裁くのは、特定の国の利益のためだけでなく、人類全体の正義のためだという強い信念を示しています。普遍的な正義の追求を訴えています。
18.「人生の無償の恩恵、国家の安価な防衛、男らしさの養育者は失われた。」(フランス革命の省察)要約
解説:フランス革命によって、伝統的な社会が提供していた価値(安定、安全、道徳など)が失われたと嘆いています。革命の破壊的な側面を批判しています。
19.「小さな集団が国家を長期にわたり支配することは困難である。」(フランス革命の省察)要約
解説:バークは、少数派の意見そのものを否定したわけではありません。彼が問題視したのは、フランス革命のジャコバン派のように、少数の過激な集団が暴力や扇動を通じて一時的に国家を支配しようとする試みでした。彼は、そうした支配が社会の秩序や国民全体の意志を無視するため、持続不可能だと警告しています。
20.「力だけを使うのは一時的なものだ。服従させることはできるが、満足させることはできない。帝国を粉砕することはできるが、再建することはできない。」(アメリカ植民地への課税に関する演説1774年)
解説:武力による支配は一時的であり、長期的な安定や繁栄をもたらさないと述べています。彼は、力によって人々を服従させても、心からの満足や忠誠は得られないと警告し、帝国の再建が困難であることを強調しました。これは、アメリカ植民地への強硬な政策を批判した文脈で語られました。
21.「すべての政府、そしてすべての人間の利益や楽しみ、すべての美徳、すべての慎重な行為は、妥協と交換に基づいている。」(アメリカとの和解に関する演説1775年)
解説:政府や個人の行動が妥協と交換に基づいていると述べています。彼は、完全な理想を追求するのではなく、現実的な妥協を通じて社会を運営することの重要性を強調しました。これは、アメリカ植民地との対立を和解で解決しようとする彼の立場を反映しています。
22.「フランス人はこれまで世界に存在した中で最も優れた破壊の建築家であることを示した。」(フランス革命の省察)要約
解説:フランス革命を批判し、革命家たちが伝統的な社会秩序を破壊する「建築家」であると皮肉を込めて述べました。彼は、革命がもたらす破壊の規模を強調し、急進的な変革への反対を表明しています。
23.「王は政策から専制君主となり、臣民は原則から反逆者となる。」(フランス革命の省察)要約
解説:革命によって、王も国民も、本来の役割から外れてしまったと嘆きました。彼は、急進的な変革が社会の役割を逆転させ、秩序を崩壊させると警告しています。
24.「個人の自由の効果は、彼らが好きなことをするということだ。私たちは、彼らが何をしたいのかを見るべきであり、祝辞を述べる前にリスクを冒すべきだ。」(フランス革命の省察)要約
解説:個人の自由が無制限に行使されると、社会に危険をもたらす可能性があると警告しました。彼は、自由の行使には慎重さが求められ、革命による無秩序な自由を批判しています。
25.「16年か17年前、私はヴェルサイユで当時のドーフィーヌであったフランス王妃を見た。そして確かに、この地球上にこれほど喜ばしいビジョンはなかった。」(フランス革命の省察)
解説:フランス王妃マリー・アントワネットの美しさを称賛し、革命による彼女の悲劇的な運命を嘆きました。彼は、革命がもたらした暴力と破壊を批判し、伝統的な価値観の喪失を惜しんでいます。
26.「私たちは一般に未教化の感情を持つ者であり、古い偏見(そう呼ばれるなら)を捨てるのではなく、かなりの程度まで大切にしている。」(フランス革命の省察)
解説:人間は伝統や偏見を大切にする傾向があると述べています。彼は、これらの感情が社会の安定に寄与すると考え、フランス革命のような急進的な変革を批判しました。
27.「これらの理論家の主張する権利はすべて極端であり、形而上学的に真実であるほど、道徳的・政治的には偽である。」(国民議会議員への手紙1791年)
解説:抽象的な理論ばかり振りかざしても、現実の政治には役に立たない、ということです。理想論だけでなく、現実的な視点を持つことの大切さを説いています。
28.「私はインドの人民の名において彼を弾劾する。彼は彼らの権利を踏みつけ、彼らの国を血と荒廃で満たした。」(ウォーレン・ヘースティングス弾劾に関する演説1788年)意訳
解説:東インド会社の総督ウォーレン・ヘースティングスを弾劾し、彼がインド人民の権利を侵害し、国を破壊したと非難しました。彼は、帝国主義の搾取を強く批判しています。
29.「国家も個人も同じで、目的や対象を明確に定めずに抱く憤りは非常に危険である。」(フランス革命の省察)要約
解説:明確な目的や対象のない怒りが、国家や個人にとって危険であると警告しました。彼は、感情的な反応が社会を混乱に陥れると主張し、革命の無秩序さを批判しています。
30.「宗教に反対する作家たちは、あらゆる制度を批判しながら、来世の問題には触れず沈黙を守る。」(自然社会の擁護1756年)要約
解説:この言葉は、バークが宗教批判者への皮肉として述べたものです。彼は『自然社会の擁護』で、啓蒙思想家が既存の制度を攻撃しながら、宗教が提供する道徳的基盤や来世の意義には都合よく言及しない矛盾を指摘しました。バーク自身は宗教を社会秩序の重要な支えと見なしていました。
31.「この国の公共の心は確かに劣化しているに違いない。もしそれが、前の世代がしたことすべてに反対する以外の行動原理を持たない人々に導かれることを我慢できるなら。」(新旧ホイッグへの訴え1791年)
解説:過去の知恵や経験をすべて否定する指導者を許容する社会は、公共の心が劣化していると批判しました。彼は、伝統の尊重の重要性を強調しています。
32.「私はまだ、理解力がリーダーよりも劣る人々の観察によって改善されない計画を見たことがない。」(ウィリアム・エリオットへの手紙1795年)
解説: どんなに優れたリーダーでも、周りの人の意見を聞き、学ぶ姿勢が大切だ、ということです。謙虚さの重要性を示しています。
33.「崇高なものの中で力の変形ではないものは何もないと私は知っている。」(崇高と美の観念の起源に関する哲学的探究1757年)
解説:「崇高」とは、圧倒的な力やスケールによって、人に畏敬の念を抱かせるものだ、という美学的な考えです。
34.「自然の偉大さと崇高さが最も強力に働くとき、それは驚嘆を生み出し、驚嘆は魂の状態であり、そのすべての動きがいくらかの恐怖と共に停止する。」(崇高と美の観念の起源に関する哲学的探究1757年)
解説:自然の壮大さに触れると、人は恐怖と驚きで心が止まるような感覚を覚える。それが「崇高」の感情だということです。
35.「痛みと危険の観念を刺激するように適したものは何でも、つまり、ある程度恐ろしいもの、あるいは恐ろしい対象について関与するもの、あるいは恐怖と類似した方法で働くものは、崇高の源である。」(崇高と美の観念の起源に関する哲学的探究1757年)
解説:恐怖や危険を感じさせるものが、「崇高」の感情を引き起こす、という考えです。美しさだけでなく、恐怖もまた、人を強く惹きつける力を持つということです。
36.「恐怖は、近づきすぎない限り、常に喜びを生み出す情熱である。」(崇高と美の観念の起源に関する哲学的探究1757年)
解説:適度な距離を保ち、制御された範囲内であれば、恐怖は崇高な感情と結びつき、ある種の美的な喜びを生み出すと考えました。
37.「力は徐々に心からすべての人間の感情を根絶する。」(経済改革に関する演説1780年)
解説:権力が過度に集中し長期間行使されると傲慢さを招き、人間の感情や道徳的感覚を徐々に奪い、腐敗や非人間化を引き起こす危険性があると警告しつつ、「権力は腐敗しやすい」という格言に通じる形で権力そのものが悪ではないものの適切な管理と監視が必要であると強調し、政府の無駄を削減し権力の濫用を防ぐ経済改革を訴えました。
38.「税を課し、喜ばせることは、愛し賢くなることと同じく、人間には与えられていない。」(アメリカ植民地への課税に関する演説1774年)
解説:税金を取り立てながら、人々に好かれることは、とても難しいということです。政治の難しさを皮肉っています。彼は、アメリカ植民地への過度な課税政策の難しさを指摘しました。
39.「私は確かに、他人の実際の不幸と痛みに対して、ある程度の喜び、しかも小さなものではないのを持っていると確信している。」(崇高と美の観念の起源に関する哲学的探究1757年)
解説:人は、他人の不幸を完全に悲しむだけでなく、どこかで少しだけ「良かった」と思ってしまうことがあるという人間の複雑な心理を指摘しています。彼は、人間の感情の複雑さを分析し、崇高さの感情の一部として説明しています。
40.「国家にとって最も致命的なのは、自己中心的で妥協しない極端な憤りである。」(サー・ハーキュリーズ・ラングリッシュへの手紙1792年)
解説:自分のことしか考えず、絶対に譲らないような怒りは、社会を分裂させ、破滅に導くと警告しました。彼は、妥協と調和の重要性を強調し、分裂を避けるべきだと訴えています。
41.「自由はセキュリティなしには持てない。セキュリティは制度なしには持てない。制度は多少の悪なしには持てない。」(高貴な貴族への手紙1796年)
解説:自由を守るためには、安全が必要。安全のためには、ルールや仕組みが必要。でも、完璧なルールはないから、多少の不都合は受け入れるしかないという現実的な考えです。
42.「公共はすべての人がその意見を述べる権利を持つ主題であり、私が言うことが同じ自由で議論されるなら、私は不満を言う権利がない。」(現在の国家の状況に関する観察1769年)要約
解説:社会の問題について、誰もが自由に意見を言い合えることが大切だということです。自分と違う意見も尊重し、議論を通じてより良い解決策を見つけるべきだという考えです。
43.「例は人類の学校であり、それ以外では学ばない。」(王政殺害に関する平和についての書簡1796-1797年)
解説:人は、歴史や過去の出来事から学ぶべきだ、ということです。過去の成功や失敗を参考にすることで、より良い未来を作ることができるという考えです。
44.「どこでも奴隷制度を持つことができる。それはあらゆる土壌で育つ雑草である。」(植民地との和解に関する決議案の動議に関する演説1775年)
解説:奴隷制度は、人間の本性に根ざす悪であり、どんな社会にも存在する可能性がある、という警告です。奴隷制度を「雑草」に例え、その根絶の難しさを表現しています。彼は、奴隷制度の廃止を支持し、植民地との関係改善を求めました。
45.「公共の利益は政府が強力であることを要求するが、それはその権威によって強力であってはならず、臣民の服従によってではない。」(現在の国家状況に関する観察1769年)要約
解説:政府は、国民の生活を守るために、ある程度の力を持つ必要がある。しかし、その力は、権力者が威張り散らすことではなく、国民からの信頼によって支えられていなければならないという考えです。

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